まずは6月1日に行われた天皇杯2回戦を振り返ってみたい。
神戸はJ3の富山と対戦。直近のリーグ戦から大幅にメンバーを変更して臨んだ一戦は、前半のうちに2点を先行される苦しい展開に。後半、酒井 高徳や大迫 勇也らを投入して流れを引き寄せ、70分に大迫のゴールで1点を返すと、89分に佐々木 大樹のゴールで追いついた。そこからも攻撃の手を緩めず、90+1分に大迫が逆転ゴールを決めて辛くも勝ち上がった。
一方の山口は、水戸と対戦。直近のリーグ戦から先発10人を入れ替えて臨み、4分に島屋 八徳のゴールで幸先よく先制に成功するも、その後は水戸に攻め込まれる時間が続き、76分にPKを献上して同点に追いつかれた。攻め込む水戸、粘り強く守る山口という展開のまま延長戦にもつれ込み、延長後半の106分に沼田 駿也のゴールで山口が試合を決めた。
振り返ると、両者とも劇的に勝ち上がって3回戦にコマを進めている。今回の試合でも直近のリーグ戦から先発を大きく入れ替えると予想されるが、2回戦の展開を考えれば、試合を決め切る力のある選手をベンチに入れておくはずだ。
両者とも直近のリーグ戦から中3日でこの試合を迎えるが、そのリーグ前節を振り返りながら現在のチーム状態を探ってみたい。
神戸は明治安田J1第17節で柏とアウェイで対戦し、1-3で敗れた。3バックの布陣で臨み、橋本 拳人のゴールで先制するも前半のうちに2点を奪われて逆転を許すと、後半からは選手を入れ替えて4バックに変更したが、追加点を奪われた。ロティーナ監督は「前半に良いサッカーができなかった。準備していたことがうまくいかず、ボールをうまく持てず、守備でも苦しい時間帯が続いた」と試合後に話した。
ロティーナ監督は、後半のチームのプレーには満足し、後半途中から大迫を投入したことで攻撃が活性化されたとも話した。昨季はAFCチャンピオンズリーグ出場権を獲得する躍進を見せた神戸だが、今季は序盤から勝てずに苦労し、最下位でリーグ戦を折り返すことになった。4月上旬にロティーナ監督が就任したが、チームとしての戦い方はまだ定まっていないように見受けられ、今回の試合もチーム作りのための貴重な試合になりそうだ。
一方の山口は、アウェイでのJ2第22節・東京V戦で0-3の敗戦。22分にヘナンが退場処分を受け、約70分を10人で戦った。前半にPKで失点し、終盤に2点を奪われたが、数的不利になっても前から奪いにいくアグレッシブな姿勢を最後まで貫いてみせた。名塚 善寛監督は「退場するまではしっかりと後ろからつないでやり合えていたと思う。1人少ない中でも臆することなく自分たちのサッカーをしようよということは選手もやれていた」と話した。
チーム状態としてはどちらも好調とはいえないが、戦い方が定まっているのは山口のほうだろう。どのチームが相手でもどんな状況でもアグレッシブに戦う姿勢を貫いている。個の力では間違いなく神戸が上だが、山口がチーム力でそれを凌駕することができるかがこの試合の見どころだ。
天皇杯の醍醐味であるジャイアントキリングが起きるかどうか。可能性はあると見た。
[ 文:田辺 久豊 ]


