昨年の5月21日に行われた天皇杯1回戦と同じカードとなったが、福島から見ればこの試合を迎えるにあたっての状況は1年前と大きく異なる。前回は明治安田J3で2位という状況で天皇杯を迎えたが、今季のJ3ではここまで20チーム中18位と低迷している。
福島はJ3第10節を終えての失点数が『10』と、リーグ2位タイの少なさを記録している。今季ゲームキャプテンに就任した大武 峻が3バックの中心で守備を統率し、ともに大卒ルーキーの野末 学と鈴 直樹が安定した守備を見せている。また、服部 年宏監督によるさまざまな試行錯誤の末に行き着いた[3-5-2]システムによって、前線からしっかりプレスを掛け、相手のプレーを限定する組織的な守備はできている。
しかし、得点数が10試合で『6』。讃岐と並んでリーグで最も少なく、敗れた5試合のうち1点差負けは4試合。得点が取れていれば勝点をもっと積み上げられていた。シュートにいくまでのビルドアップにおいては、服部監督による1年4カ月あまりの積み上げの成果は見られており、今季加入した2人のベテラン、古林 将太のクロスや宮崎 智彦のパスセンスもプラス材料になっている。また、アンカーとしてプレーする上畑 佑平士が飛び出しからここまで2得点を挙げるなど、良い形で崩すシーンもある。それでも、チーム全体としてラストパスとフィニッシュの精度という課題があまりにも大きい。
昨季チームをけん引したエースストライカー・高橋 潤哉が期限付き移籍元の山形に復帰し、その穴を埋めるFWが現れていない。大卒FWの城定 幹大、塩浜 遼、磐田から育成型期限付き移籍で加入している三木 直土といった新戦力や、高卒3年目の長野 星輝らの奮起が期待されているが、ゴールが遠い。
リーグ戦での浮上のきっかけを得るためには、まずFWがゴールを取ること。そして積み上げてきたビルドアップから得点すること。この2点に尽きる。良いイメージを持って、このあとのリーグ戦や天皇杯2回戦に臨めるようにしたい。
対するノースアジア大は、横浜FM、G大阪、柏などで監督を務めた早野 宏史氏が2019年から総監督を務めるチーム。昨季東北大学リーグ1部残留を決めて、今季は2試合を終えて1分1敗という状況だ。
天皇杯本戦への出場は、2年連続2回目。秋田県予選決勝・TDK親和会戦でハットトリックを達成し、前回大会で福島相手にゴールを決めている清明学院高出身の内垣 祥一(3年)にゴールの期待がかかる。1年前に対戦したときも主力だった選手が多く、今度こそ1回戦の壁を破ろうと燃えていることだろう。
勝利すれば6月7日、2回戦でFC東京と対戦。福島としてはJ1勢との対戦機会を得てリーグ戦浮上のきっかけに、ノースアジア大としてはまずJ3チームに勝って、J1チームと戦う機会を勝ち取りたい。
[ 文:小林 健志 ]
