ヴィアティン三重は就任2年目の樋口 靖洋監督の下、悲願のJ3昇格を目指すシーズン。5月7日の天皇杯三重県予選決勝では、同じJFLの鈴鹿ポイントゲッターズを7-0で下している。
樋口監督は主体的にアクションを起こし、アグレッシブで躍動感あふれるサッカーを追求している。決まった形を構築するのではなく、試合展開や状況に応じて選手たちの判断とアイディアで攻撃していく狙いに加え、今季はポジション争いの競争力も高まった。
守備の要はCB谷奥 健四郎。J2、J3での出場経験もあり、キャプテンとしてチームを引っ張っている。GK森 建太は大きな声でのコーチングとビッグセーブが光る守護神。得点源は谷奥と同じく地元・四日市中央工高出身の田村 翔太。JFL得点ランク2位タイの4得点を挙げ、前述の鈴鹿ポイントゲッターズ戦では5得点と大爆発した絶対エースだ。
JFLでは7試合を終えて3勝1分3敗の8位。混戦状態から上位を追走するためにも、天皇杯で勢いに乗りたいところだ。樋口監督は就任以来、J3昇格と並んで天皇杯でのJクラブ撃破を目標に掲げており、初戦からチャンスが巡ってきた。
チームはジャイアントキリングの経験があり、前回出場した2019年は2回戦で湘南を4-0で撃破。続く3回戦で長崎に敗れたものの、0-2から追いついてPK戦まで粘った。2014年は2回戦でC大阪と対戦し、延長の末に2-4で屈したものの、二度リードを奪っている。地元の声援を力に変えて、同じ東海地区の名古屋との対戦を実現させたい。
鳥取は2021年5月から指揮を執る金 鍾成監督が就任3年目を迎え、2013年以来となる悲願のJ2復帰を目指している。明治安田J3では開幕2連勝の好スタートを切ったものの、第3節以降は1勝5分2敗と思うように勝点を伸ばせず、20チーム中9位。上位追走に向けて波に乗りたいのはヴィアティン三重と同様だ。
ボール奪取後に一気に加速し、人数をかけた攻撃でゴールを目指すアグレッシブなスタイルが持ち味で、10試合でリーグ3位となる18得点を奪っている。4得点の田村 亮介、3得点の重松 健太郎と牛之濵 拓など、計9人が得点していることも特徴だ。
ただ、失点数はリーグワースト2位の『17』と多く、リードを守り切れず引き分けた試合が3つと、攻守のバランスと試合運びが大きな課題。開幕後の4月に加入し、5月14日のリーグ戦で加入後初先発を果たした長谷川 アーリアジャスールなど、経験豊富な選手が状況を好転させられるか。
昨季の1回戦はJFLのヴェルスパ大分と対戦し、地元・鳥取県のAxisバードスタジアムで戦いながら、0-4の惨敗を喫した。今回はヴィアティン三重の地元・三重県開催とはいえ、再びのジャイアントキリングは許されず、内容を伴った結果が求められる。
[ 文:石倉 利英 ]