八戸は明治安田J3の順位は3勝4分3敗の10位と、例年と比べるとまずまずと言ったところ。今季から“昇格請負人”と呼ばれる石﨑 信弘新監督の下、過去類を見ないほどの厳しいキャンプを乗り越え、地獄のトレーニングと言われる“フィジトレ”をこなしてきた選手たちは、走力の向上はもちろん、球際で負けないフィジカル、折れないメンタリティーが向上し、戦う集団となっている。
そのおかげもあり、開幕戦こそ琉球に敗れたものの、そこから7試合負けなしで一時は5位まで順位を上げた。しかし、ケガ人が多いことが不安材料となり、2連敗中と厳しい状況となっている。特に守護神の大西 勝俉、アンカーでバランスを保つ主将の山田 尚幸、攻守のキーマンでロングスローワーの相田 勇樹の離脱は大きい。このほかにもベテラン、主力組がケガで調整中と、かなりの戦力不足は否めない。それでもリーグ前節・岩手戦で姫野 宥弥、加藤 慎太郎が先発復帰を果たしたことはうれしいニュースだ。
2回戦では山形との対戦が決まっている。山形は石﨑 信弘監督が前身のNEC山形を含め1995年から1998年、2014年から2016年に監督を務めた古巣だ。これに対して石﨑監督は、「山形時代は決勝戦までいきましたね。そこまで意識はしていないですが、上のレベルとの対戦は選手にとって良い経験になる。格上とできるのは天皇杯しかないので、そこでどれだけできるか。課題も見つけて、改善していくために、なんとしてもチャレンジしたいです」と話すが、「まずはソニー仙台に勝たなければいけない。ここで負けたら次はないですから」と目の前の試合に集中し、油断やスキは作らない構えだ。
JFLに所属するソニー仙台FCは、東北アマチュアサッカー界をけん引してきた老舗の企業チームだ。天皇杯宮城県予選決勝は仙台大に3-1で勝利を収め、4年連続24回目の出場を決めた。
ソニー仙台FCを指揮するのは、山形、新潟、大宮、千葉とJクラブを率いた経験を持つ鈴木 淳監督。就任初年度の昨季は14位と低迷したが、今季はその手腕を発揮し、4勝3分1敗で首位に立っている。注目は天皇杯宮城県予選決勝で2得点、JFLでもここまで3得点を決めている松本 拓海の決定力だ。また、ウイングの鈴木 啓太郎の突破力、決定力にも期待したいところだ。そして前線にパスを供給する藤原 元輝のゲームメークも勝利には欠かせない。2015年以来のJFL優勝に向けて、チームの状態は良さそうだ。そして、鈴木監督にとっても2回戦で待つ山形は古巣となるだけに、初戦に懸ける思いは強いだろう。
NDソフトスタジアム山形で古巣対戦を果たすのは、八戸の石﨑監督か、ソニー仙台FCの鈴木監督か。監督同士の特別な思いが詰まった試合から目が離せない。注目の東北勢対決は、5月21日13時、プライフーズスタジアムでキックオフを迎える。
[ 文:夏目 二郎 ]
