今治は愛媛県予選決勝で、同じカテゴリーで戦う愛媛と対戦。試合当日は警報レベルの激しい雨が選手たちを打ちつけ、ピッチ全体を覆うような水たまりによって通常どおりのサッカーができないタフな状況だったが、訪れた数少ないチャンスをモノにしたのは今治だった。セットプレーの流れから近藤 高虎が折り返したボールを冨田 康平がヘディングで押し込んで先制に成功すると、その後は粘り強く虎の子の1点を死守。追いすがるライバルを退けて、愛媛県代表の座を射止めた。
両者はその1週間後にもリーグ戦で対峙。今治里山スタジアムでの初のダービーマッチは、立ち上がりから緊張感あふれる堅い展開となり、ともに一歩も譲らずスコアレスドローで決着となった。
「選手は全力でファイトしてくれたし、ダービーマッチということで非常に堅い試合になったと思います。なんとかゴールをこじ開けたかったけど、こじ開けられず、こじ開けさせない試合になりました。ただ、下を向くことなく、次の愛媛県代表として迎える天皇杯1回戦に向けて準備していきたい」(髙木 理己監督)。
対戦相手は、長崎県代表の三菱重工長崎SC。長崎県予選決勝では前年王者のMD長崎をPK戦の末に倒し、8年ぶりの本戦出場を決めた。
三菱重工長崎SCの主戦場は長崎県リーグ1部。言うまでもなくJ3今治との力の差は歴然としているが、何が起こるか分からないのが天皇杯。失うものがないアマチュアチームはジャイアントキリングを目指し、高いモチベーションで愛媛の地へと乗り込んでくるはずだ。
今治は通常の1週間のインターバルでこの試合を迎えるため、ベストメンバーで臨むことが予想されるが、この天皇杯においてはモチベーションの差が大番狂わせを起こすことがしばしば。今治にとって最も気をつけたいのは、“気の緩み”と言っても過言ではない。
前回大会を振り返ると、今治は1回戦で格下相手に苦杯をなめている。当時九州リーグ所属の沖縄SVと相対し、高いモチベーションで挑んできた相手の攻撃を食い止めることができず、大量4失点での完敗を喫している。また、今年度の愛媛県予選準決勝でも、四国リーグを戦うレベニロッソNCに2点を先行されるなど苦戦を強いられた。そういった経験を糧とし、この1回戦で同じ轍を踏むわけにはいかない。
戦力差を考えれば絶対的に今治優位なのは明らかだが、勝負事に絶対はない。おそらく三菱重工長崎SCは堅く守り、ワンチャンスに懸けて挑んでくるはず。力の差はあれど、守備意識の高いチームを切り崩すことは容易ではない。“格上”今治は順当に2回戦へコマを進めることの難しさを感じながらプレーしなければならないだろう。
[ 文:松本 隆志 ]

