下位カテゴリーの熊本の挑戦を受ける立場となる鳥栖は、2回戦で宮崎と対戦。34分にセットプレーから先制するも、直後に同点に追いつかれるというイヤな流れになった。しかし、後半に相手のミスから勝ち越しに成功。その後は地力の差を見せ、次々と加点。終わってみれば、5得点を奪っての大勝で大会初戦を突破した。直近の明治安田J1第20節ではC大阪と対戦。前半に先制を許したが、64分に追いつき、終了間際に決勝点を奪うという劇的な逆転勝利を挙げており、チームには勢いも生まれている。
対する熊本は2回戦で琉球と対戦。前半に2失点を喫し、先行される苦しい展開になったが、後半の立ち上がりに立て続けに得点を奪い、同点に追いつく。しかし、それ以上スコアは動かないまま、延長戦を経ても勝敗は決まらず。PK戦ではGK田代 琉我が琉球の1本目をセーブし、熊本は5人全員が成功。激闘の末に3回戦へと歩を進めた。直近のJ2第25節・秋田戦では、開始早々に先制に成功するも、勝利が目前に迫った終了間際に失点を喫し、悔しい引き分けに終わっている。
天皇杯で顔を合わせることが多い両者だが、直近5年間でこれが四度目、3年連続の対戦となる。鳥栖がすべて勝利を挙げているが、クロスゲームを演じている。2019年の対戦ではPK戦まで突入、21、22年の対戦はどちらも1点差。直近のリーグ戦から中3日となる鳥栖に対して、熊本はアウェイ・秋田からの長距離移動を経ての中2日での試合となる。琉球戦では直近のリーグ戦から大きくメンバーを替えずに臨んだ熊本だが、大木 武監督がどういう判断を下すのかは注目が集まる点だろう。
そして、この試合で両チームのサポーターから最も視線を注がれることになるのが、河原 創だろう。2020年に熊本に加入すると、1年目から主力に定着。2021年のJ3優勝とJ2昇格の原動力となり、2022年にはクラブの過去最高順位、J1参入プレーオフ決定戦進出にも大きく貢献した。そして、今季からは鳥栖へと籍を移し、自身初のJ1の舞台に挑戦中。豊富な運動量と正確性の高いボールスキルを生かしたプレーで、すでに鳥栖に欠かせない存在となっている。
自身にとっても初の古巣戦となるが、「楽しみですけど勝つことが一番なので、しっかりと結果を出せればいい。今年の熊本は、(去年と)そこまで変わらないと思いますけど、本当の中身のところは分からない。自分たちでゲームを崩すようなチームではない。ボールを持たれる時間もあると思いますが、焦れずにやることが大事になる」と河原は話す。
ともに明確な信念に基づいた攻撃的なスタイルを標ぼうし、サポーターを魅了することを信条にする両者の激突はスペクタクルな一戦となることは間違いないだろう。
[ 文:杉山 文宣 ]
