昨季J1昇格にあと一歩のところまで迫るなど躍進を見せた熊本だったが、今季はリーグ後半戦に入ってから苦戦。13戦未勝利という時期を過ごし、J3降格圏にも近づいていたが、9月に3連勝を達成して厳しい状況を立て直した。天皇杯では鳥栖、FC東京、神戸とJ1のチームを次々に撃破して地力の高さを証明。クラブ初の準決勝進出を決めた。
右鎖骨を折った道脇 豊や左ハムストリング肉離れの診断を受けた大本 祐槻、左大腿四頭筋肉離れを起こした大崎 舜が離脱するなど、万全と言えるチーム状態ではないだろう。それでも能動的にプレスを掛け、勇気を持ってボールをつなぐ攻撃的な戦い方がブレることはない。大木 武監督は「いつものように戦っていく。負けることは考えたことがない」と、どんな相手に対しても自分たちらしさを貫くことを強調した。
7年前、熊本地震が発生してホームスタジアムが使用できなくなった際には、柏の本拠地でホームゲームを行ったこともある。熊本が柏を訪れるのはそれ以来となるが、縁ある地で決勝行きの切符をつかみ取ることができるか。
対する柏はリーグ前半戦でわずか2勝と苦しい時期を過ごし、現在も下位に沈んでいる。ただ、夏の中断期間を経て持ち直し、J2降格圏との勝点差も広がってきた。「前からのプレスがしっかりハマるようになってきて、点が取れるところでしっかり点が取れるようになってきている。前半に失点しなくなった」(立田 悠悟)と攻守両面で向上。天皇杯準々決勝では名古屋に完封勝利を収め、6大会ぶりの準決勝進出を決めた。
柏にとってのポイントは、いかにして熊本の強みであるビルドアップを規制するか。プレッシャーの少ない状態で熊本にボールを回されれば、リズムを与えてしまうのは想像に難くない。これまでの試合を振り返っても、前線からのプレスが機能した試合はおおむね良い内容、結果を残せている。細谷 真大は「相手に合わせず、自分たちから行くところが大事だと思う」と積極的な姿勢で臨むことの重要性を話し、「チャンスがあればボールを取りにいきたいと思うし、うまく(パスコースを)限定するなど相手にとってイヤなことをするところが仕事だと思っている。リーグ戦と変わらず、そこはやっていきたい」と意気込んだ。
過去AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場した経験も持つ柏だが、ここ数年はその機会を得られていない。天皇杯優勝は同時にアジアの舞台への切符を得るチャンスでもあり(※2024-25シーズンのACL出場枠については未決定)、また新たな柏の歴史を作ることにもつながる。悲願のタイトルへの思いを尋ねられた細谷は「もちろん(天皇杯のタイトルを)獲りたいし、ACLにも出場できる。自分が見てきたようなレイソルを、ここでまた作っていきたい」と話した。
熊本にとっては初の、柏にとっては三度目の決勝進出を懸けた一戦。試合は10月8日(日)13時10分から、三協フロンテア柏スタジアムで行われる。
[ 文:藤井 匠 ]
