16年ぶりのJ1を戦う東京Vは、ここまで健闘。リーグ戦で敗れた相手は横浜FM、C大阪、そして町田の3チームのみで、現在2連勝中。JリーグYBCルヴァンカップでは1stラウンド3回戦で広島に屈して敗退したものの、明治安田J1第15節・町田戦で敗れてから採用した3バックシステムで良い結果が出ている。
城福 浩監督は現在のシステムについて、「5トップ、5バック」という伝え方で選手に浸透を促してきた。決して守備的ではなく、ウイングバックを含めて前に出ていく意識は強い。守備でも高い最終ラインの位置設定は変わらず、陣形をコンパクトにしながら前向きなプレッシャーを掛ける。自陣に攻め込まれた際にはウイングバックが下がって5バック化するものの、「ボックスアウト」と指揮官が呼ぶようにペナルティーエリアに相手を入れないようにする守備意識を徹底させてきた。
天皇杯で出場するメンバーは、リーグ戦で出場機会の少ない選手たちになるだろう。その選手たちもレアル・ソシエダ(スペイン)との親善試合、ルヴァンカップの広島戦と、実戦を経験してきた。7日には明治大との練習試合で長い時間をプレーしており、リーグ戦のメンバーと同じ戦術に取り組んできた。
明治大戦でアピールしたのは、左足での好クロスでゴールをアシストした袴田 裕太郎、同じく左足でのフィードで良い攻撃につなげていた平 智広といった選手か。さらにリーグ戦でも途中出場から特長を見せている前線の山田 剛綺、そしてこのところ評価を上げてきた食野 壮磨といった選手もいる。
彼らにとっては、公式戦でアピールしてリーグ戦の出場につなげるために、そして勝ち進むことで出場機会を増やすために、落とせない一戦だ。
長野は、J3で6勝5分5敗。8位につけており、2位とは勝点5差。目指すは2位以内の自動昇格、あるいはJ2昇格プレーオフからの昇格だろう。
天皇杯は“信州ダービー”となった長野県予選決勝をPK戦で制して勝ち上がり、1回戦では秋田県代表の猿田興業に7-0と大勝を収めた。三田 尚希、木原 励が2ゴールずつを奪っている。
東京Vの山見 大登は3バック同士の対戦に向けて、「マンツーマン気味になると思う。シャドーの選手が落ちたところをセンターFWが入っていくとか、センターFWが落ちるところにシャドーが走っていくなどをやっていきたい」と展望した。深澤 大輝も「相手はウイングバックから逆のウイングバックに合わせるなど、クロスも多い。どれだけ対人で負けないか、ということも大事になる」と話している。
長野には、昨季途中まで東京Vに在籍していた加藤 弘堅がいる。中盤の底からのゲームメーク、そして長距離を苦にしない無回転シュートなど、彼の強みを元チームメートはよく分かっている。城福監督の下でも1年ほどプレーしているため、いまの東京Vの戦い方や選手の特徴は筒抜けだろう。
両者の対戦は公式戦では初めて。最初の対決となる今回、どんな結末を迎えるか。
[ 文:田中 直希 ]