いわきは2回戦で秋田と対戦して2-0の勝利。3回戦に進むのは2017年度大会以来だ。福島県リーグ1部所属時代にJ1札幌と対戦し、延長戦の末に勝利してサプライズを呼んだときまでさかのぼる。それ以降は本大会初戦敗退が多く、勝利を収めたのは2020年度大会以来となる。
広島と対戦することが決まると、当日の出場可否はさておき、生駒 仁は同郷出身の大迫 敬介との初対戦を望み、山下 優人は千葉U-15時代の同期である大橋 祐紀との対戦に向けて鼻息が荒かった。
2回戦で秋田に勝利したときは、J1クラブ相手にどれだけ通用するかが楽しみだったが、そうはいかない事情が押し寄せている。7月7日付けで発表があったとおり、守備の要だった照山 颯人が長崎へ完全移籍。リハビリが長引いていた嵯峨 理久も岡山へ完全移籍。広島から育成型期限付き移籍でプレーしている棚田 遼は契約上出場不可。JFA・Jリーグ特別指定選手で桐蔭横浜大に所属する五十嵐 聖己は天皇杯メンバーに登録できない。さらにケガ人も多く、持てるコマは限られている。こうした事情も踏まえながらターンオーバーに関しては控えめにするというコメントを残している田村 雄三監督ではあるが、広島戦後に中3日で控える明治安田J2第24節・山形戦を考慮すると顔ぶれは少し変わってもおかしくない。直近の第23節・大分戦では近藤 慶一や大迫 塁が途中出場から攻撃に厚みを加え、特に大迫 塁は左サイドの攻撃の作りでアクセントになれることを示した。
リーグ戦で3連敗を喫し、ホームで同6試合未勝利と成績を見ても難しい状況にある。ただ、「勝利に結びつかないことが続いているけど、天皇杯をホーム(本拠地)でできることはアドバンテージでもあるし、勝利できれば勢いを作ることができる。勝つためにチーム一丸となっていきたい」と山口 大輝が話すように、リバウンドメンタリティーを持って、どれだけ戦うことができるかがポイントになる。戦術的に似ているJ1上位の広島相手に、いわきのサッカーがどれだけ通用するのか。悪い流れを変える試合にしたい。
いわきと初対戦となる広島は2回戦でFCバレイン下関と対戦し、11-2と大勝を収めている。この試合も含めて6月は公式戦9連戦を戦い抜いた。7月最初の試合だったJ1第22節・神戸戦は1-3の敗戦。リーグ戦は3試合勝利から遠ざかっている。天皇杯を勝ち上がることはもちろんのことながら、大幅なターンオーバーを行わないミヒャエル スキッベ監督は14日に開催される第23節・福岡戦をにらみ、いわき戦に向けてどれだけ主力を温存するか。参考にすべきは4月のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦・奈良戦かもしれない。その試合では直近のリーグ戦のメンバーとサブ組を混合させた構成だった。ただ、広島は前回大会の3回戦でJ2栃木相手に0-2の敗戦を喫している。同じ轍を踏まないために、そしてJ1チームの矜持を示すべく、いわき相手に強さを見せてベスト16進出を目指す。
[ 文:柿崎 優成 ]
