J1昇格3年目の新潟は、明治安田J1前半戦を終え(1試合未消化)、現在19位。2日からの国際Aマッチウィークでリーグ戦が中断となっている現在、チームで新潟のスタイルを見つめ直している。
堅守速攻をベースに戦ってきた新潟がポゼッション主体のサッカーに方向性を変えたのは、J2降格2シーズン目の2019年。シーズン途中に就任した吉永 一明監督が、立ち位置で優位性を生み出しながら、パスをつないでゴールへ向かうスタイルを導入した。そして2020年、FCバルセロナのアカデミーで要職を務めてきたアルベルト氏(※新潟の監督を退任後、2022年から2023年の途中まで指揮を執ったFC東京時代の登録名はアルベル)が監督に。アルベルト監督は「ボールを愛するサッカー」を標ぼうし、チームに徹底してパスワークとビルドアップ、中央突破の基礎を叩き込んだ。2022年に松橋 力蔵監督(現・FC東京監督)が就任すると、ポゼッションスタイルを継承しつつ、迫力あるサイドアタックも増加。「己が何者かを示せ」と選手個々の持ち味を尊重。就任1年目でJ2優勝とJ1昇格を果たした。就任3年目の昨季は、JリーグYBCルヴァンカップ準優勝と結果を出したが、リーグ戦では残留争いを強いられ、16位に終わった。
松橋 力蔵監督の退任に伴い、今季、クラブは水戸のユース監督やトップチームコーチを務めた樹森 大介氏を監督として招聘。樹森 大介監督は新潟のポゼッションスタイルを継続しつつ、昨季終盤の課題であったアタッキングサードでの迫力不足を補うべく、対人強度の向上とショートカウンターへの意識を高めた。今季初勝利を挙げたJ1第9節・神戸戦など、ショートカウンターから得点が生まれる成果もあったが、相手のプレスを受ける場面では、つなぐのか蹴るのか、選手間で判断がそろわない部分も散見された。現在はそのバランスを見直し、整理している段階だ。再構築された“新潟らしいサッカー”の現在地を示す一戦になるだろう。
リーグ戦におけるチーム最多得点者は長谷川 元希。リーグ6位タイの6得点を挙げている。イマジネーション豊かなプレーで違いを見せるファンタジスタは、樹森 大介監督の下で守備力も高め、個で違いを生み出せる存在として躍動する。ただ彼に頼るのではなく、戦力底上げにつながる若手選手らの力にも期待したい。
対する福山シティFCは、広島県福山市で2017年に設立されたチーム。直近3年は中国リーグ3連覇を果たし、3年連続で全国地域サッカーチャンピオンズリーグに出場したが、惜しくもJFL昇格はかなわなかった。今年こそ昇格を目指し、現在は開幕から4勝1分と無敗でリーグ首位を走っている。
天皇杯は2年連続での出場。昨年度は1回戦で沖縄SV(沖縄県代表)に3-0で勝利したが、2回戦でJ1福岡に0-8で敗れている。今大会は1回戦でFC徳島(徳島県代表)を2-1で倒し、2回戦へとコマを進めた。
チームを率いるのは、小谷野 拓夢監督。北陸大卒業後の2020年に福山シティFCの監督に就任し、その年の天皇杯(※新型コロナウイルスの影響により特別なレギュレーションでの実施)で準々決勝進出を果たした経験もある。2023年からJ3鳥取で強化育成部長やヘッドコーチを務めると、今季より古巣の指揮官に復帰。27歳の青年監督はJリーグクラブでの経験を生かし、より野心と危機感を持って、チームを導いている。
攻守において主導権を握るサッカーが福山シティFCのスタイル。得点源は、リーグ得点数1位の野浜 友哉(5得点)、2位タイの高橋 大樹(4得点)。ともにアシストも4つ記録しており、多くの得点に関わっている。またJリーグでの経験を持つ代 健司や杉浦 力斗らもメンバーに名を連ねる。8日にリーグ戦を戦い、中2日で遠方でのゲームとなるが、Jクラブを倒すモチベーションは高いはずだ。
[ 文:野本 桂子 ]

