山口県代表のFCバレイン下関は、3年連続5回目の天皇杯本戦出場で、2年連続で2回戦に進出してきた。1回戦では環太平洋大FC(岡山県代表)と対戦して延長戦の末に逆転勝ちしており、今回は初のJ2クラブ撃破というジャイアントキリングを目指している。20代前半の若い選手が多く、勢いに乗ったときの恐さがあるため、藤枝も大いに警戒している相手だ。
藤枝の須藤 大輔監督も、一発勝負の天皇杯ならではの恐さは承知しており、「一発のミドルが入ってしまったり、セットプレーで入ったりということもありますし、相手はすごく“ジャイキリ”を狙ってくると思うので、それを受けるのではなく、しっかり立ち向かうという姿勢で臨んでいきたいと思っています。大会の違いに関係なく、われわれのスタイルというのを出していきたいです」と語る。
また、天皇杯から中3日で富山とのリーグ次節が控えていることもあって、リーグ戦で出番の少ない選手にチャンスが与えられる可能性もある。ポジション奪取への野心に満ちた選手たちが、どれだけ躍動するか、攻撃的な藤枝スタイルを体現できるかという部分も大きな注目点となる。
特に注目したい選手は、「僕個人は3年連続で下関と天皇杯でやるんですよ」と言う松木 駿之介だ。2023年度大会はヴェルスパ大分の選手として延長戦まで戦って2-1で勝利したが、鳥取の選手として戦った昨年度はPK戦の末に敗れている。
「去年は負けてしまったので、戦いづらさは知っていますけど、個人としては去年のバレイン戦で点を取っていますし、イヤなイメージはないです。ここで勝てば(3回戦で)サンフレッチェと戦える可能性があって、サポーターも楽しみにしていると思いますし、僕たちの経験としても貴重な機会になると思うので、まずはバレインにしっかり勝ちたいです」と松木 駿之介は語る。彼らしい闘志あふれるプレーで、因縁深いFCバレイン下関から得点を挙げて雪辱を果たせるか、楽しみにしたい。
対するFCバレイン下関は、昨年度大会の2回戦で広島に2-11で大敗しており、その屈辱を晴らすためにも広島との再戦を熱望している。そのため、この2回戦で「藤枝MYFCに胸を借りるのではなく、真剣勝負の場で勝利したい」と福原 康太クラブ代表兼監督は語っており、選手たちも高いモチベーションで勝利だけを目指して戦うはずだ。
ボールを保持する力という面では、本拠地で戦える藤枝が上回るだろうが、FCバレイン下関は中国リーグで5試合4失点と安定した守りを見せている。押し込まれてもゴール前で耐え続けていれば、藤枝の焦りを誘ってカウンターやセットプレーで勝機を見いだせるだろう。それは藤枝にとって何度も敗戦につながっているパターンであり、ジャイアントキリングの可能性は十分にあるとFCバレイン下関は考えているはずだ。
因縁や次のラウンドへの強い思いが絡み合う一戦。天皇杯らしい醍醐味という意味でも、非常に見ごたえのある戦いになりそうだ。
[ 文:前島 芳雄 ]


