J2降格圏の18位と勝点4差の名古屋だが、5月は3勝3分と負けなし。右肩上がりに調子を上げてきた。連勝を収めた直近のリーグ戦2試合は、シュート数で相手を圧倒。これまではチャンスクリエイトはできてもシュートにまで持っていけないシーンが目立ったが、迫力のある攻撃ができている。
中でも好転の兆しとして表れたのは、J1第18節・浦和戦では永井 謙佑が、第19節・新潟戦では山岸 祐也が今季初ゴールを挙げたこと。これについて、長谷川 健太監督は「FW陣の当たりが出てきたという部分では、非常にチームに勢いが出る選手が(ゴールを)取り出した」と語った。ようやく、やりたい攻撃的なサッカーができる態勢が整ったと言える。
さらに守備面も大幅に改善できており、特に失点数においては、4月までは1試合平均1.77失点(13試合で23失点)だったが、5月は1試合平均0.5失点(6試合で3失点)と、見違えるほどの改善ぶり。ピサノ アレックス幸冬堀尾がゴールを守るようになったと同時に数字が上向いたのは、偶然かもしれないがファクトでもある。
名古屋はすでにJリーグYBCルヴァンカップは敗退しており、天皇杯は現状として最も狙いたいタイトルである。昨年度は同じ2回戦で、北信越リーグ1部所属のJAPANサッカーカレッジに本拠地で敗れるという失態を演じた。2年連続で5部相当の下位カテゴリーの相手に負けることは許されない。
この2回戦を終えると、中3日でリーグ次節・神戸戦。連戦を迎えるが、リーグ前節から中10日と休養は十分にとれている。完全なターンオーバーではなく、ある程度の主力を核に据え、それに若手を交えたハイブリッドな先発メンバーで臨むことが予想される。ただ、若手の経験値よりも結果が優先されるのは間違いない。ピッチに立った若手には、その1秒後からフルでアピールすることが求められる。
そのJ1チームに挑むのは、宮崎県代表のヴェロスクロノス都農。1回戦は雷の影響でいったん試合が中断するなど厳しい環境の中での試合となったが、J3の鳥取を相手に20分に松本 幹太が先制点を奪うと、67分には上米良 柊人が追加点。鳥取の反撃を1点に抑えて勝ち進んできた。
ヴェロスクロノス都農の注目はMFの梶山 幹太だ。高い技術でチームのリズムを作り出す司令塔は、高校年代を名古屋のアカデミーで過ごし、2017年にトップチーム昇格を果たした。名古屋ではルヴァンカップ2試合、天皇杯1試合の計3試合の出場にとどまり、相模原を経て2021年からヴェロスクロノス都農でプレーをしている。
名古屋在籍時は、全体練習後の個人練習を欠かさず、いつも最後まで同期と“止める・蹴る”を練習していたことが思い起こされる。名古屋で出場した3試合はいずれもアウェイだった(※天皇杯は中立地扱いではある)。つまり、夢にまで見ていた豊田スタジアムでの初の公式戦。そのピッチをどんな思いで踏みしめるのか。そしてどんなプレーを古巣相手に見せるのか。彼のサッカー人生の中でとても重要な試合になるだろう。
[ 文:斎藤 孝一 ]
