3回目の対戦は、天皇杯2019年度大会の準決勝。ラウンド16で当時J1の仙台、準々決勝でJ2の甲府を撃破した長崎は、同大会において準決勝までコマを進めた唯一のJ2クラブとなり、クラブ初となる決勝の舞台まであと一歩に迫っていた。
茨城県立カシマサッカースタジアム(当時)での一戦は、4分に先制を許して序盤から追う展開に。米田 隼也と澤田 崇がゴールを決めるも3失点が響き、2-3で敗れた。
あのときと今回では、試合の舞台も監督も所属選手の多くも異なる。だが、長崎サポーターが抱える悔しさは変わらない。同じ天皇杯で対戦できるこの機会を生かし、勝利を挙げてあのときの思いを晴らしたい。
J2第20節からチームを率いる高木 琢也監督の下、長崎はサッカーの質が変化している。それまでは後方からのビルドアップを重視し、遅攻をベースにしながらときおり速攻を織り交ぜて戦っていた。一方で守備陣のタスクが多くなったほか、対策を打たれ、ハイプレスを浴びて苦しむ試合が増加。失点が重なり、思うように白星を得られなかった。
高木 琢也監督はフアンマ デルガドやマテウス ジェズスら前線のタレントをシンプルに使うことを意識させ、相手陣でのプレー時間を増やすことに成功。それによって自然と守備の時間も減り、失点減へとつながっている。
今回はカテゴリーが上の強豪が相手。自陣で過ごす時間が多くなると想定されるため、苦しい時間を耐え、限られたチャンスを生かせるかが重要となる。
ただ、ひるむことはないだろう。昨年度の天皇杯3回戦ではJ1新潟を6-1で破り、昨季のJリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦では当時J1の磐田を、3回戦ではJ1浦和を撃破した。下克上の実績は十分にある。
長崎の本拠地に乗り込む鹿島は、J1で首位と勝点差3の4位に位置し、優勝争いに絡んでいる。天皇杯では2回戦でJ3群馬を4-0で撃破。順当に3回戦へと進んできた。
今季から新たに就任した鬼木 達監督の下、今季の鹿島は堅実な戦いを披露。リーグ戦23試合で33得点22失点と攻守のバランスが良く、+11という得失点差は川崎Fに次ぐリーグ2位タイの数字だ。J1第20節から現在まで4試合未勝利でやや順位を落としているものの、J1屈指の強豪であることは間違いない。
中でも前線は強烈で、レオ セアラはリーグトップの13得点、鈴木 優磨も7得点3アシストと、2人でチームの半数以上の得点を生み出している。今回は、東アジアE-1サッカー選手権を戦う日本代表に招集されている早川 友基と植田 直通が前日に韓国戦を迎えるため、主力の一部を欠くのは確定的だが、単純な力関係では確実に長崎を上回る。
長崎の高木 琢也監督、鹿島の鬼木 達監督がどのようなメンバーを選び、どの選手がリーグ戦の出場機会へとつなげるのか。そして長崎は悔しさを晴らす機会とできるか。意欲と思いが交差する、注目の一戦が始まる。
[ 文:椎葉 洋平 ]
