大分にとってこの一戦は、おのずとモチベーションが高まるシチュエーションだ。新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場者数制限がさらに緩和され、14,000人の観客を集めることに加え、7月26日に開催された第7節に2-4で敗れた相手への雪辱のチャンス。当時の大分はこれまでに積み上げてきた戦術が上手く機能せず、複数失点を重ねて連敗中だった。現在はその状態から立て直し、9月の7連戦を4勝1分2敗。第16節の仙台戦からは2009年以来のJ1での3連勝を記録し、うち2試合で3得点を挙げている。昨季から継続して得点力不足を課題としてきたチームが、ようやくその突破口を見つけようとしているようだ。
連敗していた当時と比べて現在のチーム状態を、町田 也真人は「いまは誰が出てもいいサッカーができているし、何よりもみんな自分の判断でプレーできるようになってきている。連敗していた頃とはハートの部分が明らかに違う。あの経験が今すごく生きていると思う」と見る。連敗中に負傷離脱していた町田や野村 直輝の復帰は、選手層の厚さが結果に反映しやすい今季は特に、チームにとって心強い。シャドーとウイングバックの2つのポジションでプレーしてアグレッシブな仕掛けから好機を演出する田中 達也や、第9節からゴールマウスの前に立ちはだかるGKムン キョンゴンの好調も、戦績回復を支えている。
一方の清水は、なかなか結果がついてこず苦しんでいる状況。開幕5連敗から一時は脱しかけたように見えたが、第11節からは7連敗。第17節で湘南に3-0で快勝したがそれも続かず、直近2試合も連敗中だ。敗れた試合はいずれも複数失点を喫しており、ゴール前でパスをつながれると後手に回るなど、守備での課題が浮き彫りとなっている。ただ、大分との前回対戦で4得点を挙げている他に、札幌と横浜FMからもそれぞれ3得点を奪っており、ここまで無得点だったのは4試合のみ。前回の大分戦の4得点もすべてそうだったが、26得点のうち10得点がセットプレーから、5得点がクロスからで、カルリーニョス ジュニオが7得点と、データには明確に特徴が表れている。
開幕から[4-3-3]を基本システムに戦ってきた清水だが、AFCチャンピオンズリーグ日程との兼ね合いで9月16日に開催された第24節・横浜FM戦は[3-4-2-1]、その後の3戦は[3-5-2]でスタートしている。8月のJリーグYBCルヴァンカップ第2節・名古屋戦で採用した[3-5-2]はトップ下を置く形だったが、直近3試合はアンカーシステムだ。今節の大分戦でピーター クラモフスキー監督がどのような戦い方をしてくるかは、片野坂 知宏監督にとっても気になるポイント。大分のビルドアップへのプレッシャーをどう回避しながらボールを運んでいくか、柔軟な選択が求められる。
未曾有の連戦続きの中、時間をかけてトレーニングで修正を施すことも難しかったシーズン前半に積み上げ損なった勝点を、ここからどう挽回していくか。巻き返したい両軍が、気持ちを入れて激突する。
[ 文:ひぐらし ひなつ ]
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