前節、鳥栖はアウェイでのC大阪戦に臨んだ。前半にFKから樋口 雄太のプロ初得点が決まり先制。前半のうちに追いつかれたが、後半は集中した守備を展開した。天皇杯出場権獲得のために前に出てきたC大阪のミスを見逃さず、カウンターから終了間際にチアゴ アウベスが決勝点を奪取。劇的な形で5試合ぶりの勝利を獲得した。前半のうちに負傷で選手2人を交代させるというアクシデントもあったが、チームとしての一体感を表現しての勝利に金 明輝監督も「トラブルがあった中で選手一丸となって戦ってくれました。アウェイ最後をしっかり戦って、勝てたことは大きい」と振り返った。
一方の大分は、延期した試合が終盤に組み込まれたことで5連戦を戦っている最中。前節は5連戦の4戦目でアウェイの湘南戦に臨んだ。セットプレーから前半に先制を許す苦しい入りとなり、その後も湘南のアグレッシブな守備の前に劣勢を強いられる。それでも、前半終了間際にセットプレーから髙澤 優也が同点弾。良い形で後半に入ると、伊佐 耕平が逆転弾を奪う。その後はブロック守備をベースに湘南の反撃をシャットアウト。決定力の高さを見せ、見事に逆転勝利を奪った。
両者の前回対戦は約5カ月前。新型コロナウイルスによる約4カ月という長い中断期間を経ての再開初戦だった。そのときは大分が田中 達也の2得点で勝利を挙げている。当時と大きく違うのは鳥栖だろう。現在は[4-4-2]をベースにしているが、当時は[4-3-3]。何よりいまは時間をかけてしっかりと構築してきたスタイルがあり、その練度は当時とは比べ物にならないものになっている。前回は大分に合わせる戦い方の色が濃く、ミスから2失点する形になったが、今回はしっかりと自分たちのスタイルで真っ向勝負を仕掛けるはずだ。
楽しみなのは金 明輝監督と片野坂 知宏監督の采配だ。互いに小規模予算、限られた戦力の中でポゼッションをベースとした明確なチームスタイルを構築している。この一戦に向けてどういった準備を施すのか。そして、試合の中では起こる事象にどうやって対応していくのか。熱い両指揮官が見せるであろうハイレベルな駆け引きにも注目したい。
大分はすでに11位が確定しているが、鳥栖は勝てば最大で12位まで浮上できる可能性がある。そして、何より9月末のFC東京戦以来遠ざかっているホームでの勝利をモノにするというモチベーションがある。経営問題が取りざたされた中でも支え続けてくれたサポーターのためにも、最後は勝利で喜びを分かち合いたい。12月も下旬に差しかかる今節だが、九州のチーム同士のプライドを懸けた一戦。明確なスタイルを持つ両者だからこそ、熱い戦いを見せてくれるはずだ。
[ 文:杉山 文宣 ]
