近年、Jリーグは川崎Fと横浜FM、ボール保持とプレッシングを軸に、攻守において攻撃的なサッカーを志向する2チームがそれぞれチャンピオンに輝き、トップの座に君臨してきた。今季もこの2強を軸に優勝争いが繰り広げられる可能性は高い。ただし、そこへ食い込み、割って入るチームの出現が今季のJをさらに盛り上げる。その急先鋒が昨季のリーグ戦、JリーグYBCルヴァンカップ、天皇杯とすべての大会で上位進出を果たした広島であり、C大阪だ。
小菊 昭雄監督就任3年目のC大阪は昨季、攻守に規律正しいアグレッシブなサッカーを確立。前線2トップから始まる強度の高い守備、奪ってからの素早いカウンター。意思統一された堅守速攻を磨き、夏場は快進撃を続けた。そうした中で、宮崎キャンプでは崩しの共有、ニアゾーンを取る動き、3人目の関わりなど、攻撃面でのブラッシュアップにも積極的にトライ。「試合の流れを読みながら、味方も見ながら良い立ち位置を取れれば、もっとスムーズに攻撃できる」と奥埜 博亮も話すなど、ボールを握りながら、緩急をつけてサイドと中央を使い分ける攻撃のバリエーション作りにも着手した。もっとも、その軸となっていた清武 弘嗣が開幕直前に負傷離脱したことで、今節に関しては昨季ベースとして築いた[4-4-2]で臨む可能性が高い。ボール保持に特長がある新潟に対し、連動した守備でどう相手をハメ込むかは、今節の大きなポイントになる。
選手個々での注目は、新加入のレオ セアラとジョルディ クルークス。昨季、C大阪が横浜FMと川崎Fに比べて大きく劣っていたのが得点力。Jでの実績もあり、ゴールに直結する働きができる両者は得点力を高める重要なピースとなる。開幕からどう機能するか、周囲との関係性も含め、注意深く見ていきたい。また、U-20日本代表に選出された北野 颯太、12年半ぶりにJリーグ、C大阪へ復帰を果たした香川 真司のプレーにも注目は集まる。
一方の新潟も、6年ぶりのJ1へモチベーションは高い。昨季はJ2最多の73得点に、得失点差も『+38』と他クラブを圧倒。2年間新潟を率いたアルベル監督からバトンを受け継いだ松橋 力蔵監督がより攻撃的なスタイルに磨きをかけ、“J2優勝・J1昇格”を果たした。今季に臨むにあたり、既存選手の大半を残留させ、新加入が4選手にとどまっているところを見ても、大幅に選手を入れ替えてJ1仕様にするよりも、昨季築いた強みをより磨き、J1へ挑むことを選択した様子が見て取れる。その初戦となる開幕戦は、スタイルを貫くとともに、個々の強度やプレースピードなど、どれだけJ1にアジャストできるかもポイント。チャレンジャーの立ち位置で臨む一戦ではあるが、もちろん勝点3を狙って挑む。
積み重ねてきた強みを発揮し、開幕戦を白星で飾るのは果たしてどちらか。S級ライセンス同期の熱血指揮官同士による、興味深いマッチアップとなる。
[ 文:小田 尚史 ]


