新潟の松橋 力蔵監督にとって、横浜FMは「サッカー人生のほぼすべてが詰まったクラブ」。1988年に日産自動車サッカー部ファームで選手キャリアをスタートさせ、1989年から日産自動車サッカー部へ。1992年から横浜マリノスとしてプロ化したチームに1995年まで所属。引退後は横浜FMの育成に携わり、スクールでは小学生時代の高木 善朗、星 雄次らを指導していた。横浜FMユース監督時代には複数タイトルを獲得。汰木 康也(神戸)や新里 涼(水戸)、山田 康太(柏)、常本 佳吾(鹿島)、吉尾 海夏(横浜FM)ら多くのタレントを輩出した。2017年からはトップチームで指導に当たり、2019年にはアンジェ ポステコグルー監督体制2年目のチームでコーチを務め、15年ぶりのJ1優勝の力になったトリコロールの功労者だ。
2021年にアルベル監督(現・FC東京監督)体制2年目の新潟でコーチとして迎えられると、2022年から新潟の監督に。前指揮官から継承したポジショナルプレーに攻撃性をプラスして、就任1年目でJ1昇格へ導いた。オレンジの指揮官は今季も「“リキさん”(松橋監督)とやりたい」と残った26人の選手と、新潟のサッカーに魅了されて加わった4人の選手とともに「スタイルを究極に持っていく」ことを掲げ、ブレることなくJ1でもトライし続けている。
松橋監督にとって今節は思い入れ深い古巣との対決となるが、「目の前の相手が最強の敵」というポリシーは昨季から不変。「過剰に何か、ということもない。いつもの対戦と変わらない」と臨む。
また、横浜FMの松原 健も2014年から3シーズン在籍した新潟との古巣対決。当時はオーバーラップとアーリークロスが代名詞だったが、横浜FMではインサイドで決定的な仕事をする選手へと変貌。プレーの幅を広げ、戦術的に欠かせない選手となった。両者の対戦は2018年のJリーグYBCルヴァンカップ以来となるが、進化した“マツケン”(松原)のプレーにも注目だ。
新潟はリーグ戦ここ4戦勝ちなし。先制を許す試合が続いていたが、前節は柏と0-0で引き分けて、連敗を『3』でストップ。5試合ぶりに無失点で終えたこと、積極的にシュートに向かう姿勢を取り戻せたことは好材料だ。また、4試合ぶりに戦線復帰した鈴木 孝司が前線でタメを作ることで攻撃に厚みが生まれた。後半アディショナルタイムには伊藤 涼太郎や高木らの連係から、ひさびさに新潟らしい中央突破でチャンスを作れたことは、今節につながるポイントとなった。
横浜FMは直近6戦負けなしで2連勝中。サイドアタッカーのヤン マテウスはここ2試合で3得点1アシストと好調だ。逆サイドのエウベルとともに高い位置を取ってディフェンスラインを押し下げ、中央のスペースに入り込む選手へのクロスからチャンスを作り出している。前節・京都戦は4-1と大勝。西村 拓真の11試合ぶりの得点や水沼 宏太の今季初得点も生まれており、攻撃陣が勢いに乗っている。
新潟の鈴木は「マリノスは攻撃力も圧倒的だが、守備の強度も高い。逆に1人かわしたときにスペースや時間もできると思うので、びびらずにやることが大事になる」と想定。攻守が切り替わった瞬間、どちらが自分たちの攻撃に持っていけるかが見どころの1つになりそうだ。
[ 文:野本 桂子 ]

