監督交代を挟みながら鹿島が2勝1分と盛り返し始めた。それ以前まで6試合連続勝ちなしの3分3敗。シーズン終盤でランコ ポポヴィッチ前監督との契約を解除し、中後 雅喜新監督を迎えた劇薬とも言える決断が、結果を見せ始めている。とはいえ、鹿島が目指すところは可能性がある限りタイトルを追い、アジアの舞台への出場権を獲得すること。前節は川崎FのホームであるUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuでリーグ戦9年ぶりとなる勝利を手にし、
樋口 雄太は「9年ぶりにあのスタジアムで勝てたことは、これから鹿島が上に上がっていくためにはすごく必要だったと思います」と、手ごたえを口にした。ただ、この結果に満足するような気配はない。今季、ホームでは9勝8分と負けなしを継続しているだけに、この勢いをさらに大きくしていきたい。
対する名古屋は先週にビッグゲームを戦い、粘る新潟をPK戦の末に退けて3年ぶりとなるJリーグYBCルヴァンカップ優勝を成し遂げた。試合は、名古屋が前半で2点のリードを奪ったが、後半終了間際にPKを与えてしまい、同点に。延長戦ではそのPKを与えた
中山 克広が勝ち越しゴールを決めたものの、
小見 洋太にPKに続くゴールを決められて同点に。そして迎えたPK戦では、今季限りで退団することが決まっているGK
ランゲラックがキッカーを務めて決める活躍を見せ、置き土産となるタイトルをもたらした。これには長谷川 健太監督も「今日は
ランゲラックがすべて」と目を細めていた。
どちらもチーム全体が一丸となって戦うことで結果を出したと言える。さらにその勢いを大きくし、継続できるチームはどちらなのかが問われる戦いになるかもしれない。ランコ ポポヴィッチ前監督が3バックにチャレンジしたこともあった鹿島だが、前節は伝統的な[4-4-2]に回帰して川崎Fから勝点3を奪っている。手ごたえを感じる戦いぶりだっただけに、今後はそれをさらに発展することに着手するはずだ。
ただ、名古屋にすれば同じようなシステムの新潟と対戦したばかり。マンツーマン気味に相手を捕まえ、高い位置から圧力を加える戦いぶりで新潟を苦しめた。ロングボールも織り交ぜながら前進する鹿島にとって、相手が前に来ればその背後を取り、出てこなければしっかりつなぐという、相手の逆をとる選択ができるかどうかが、試合展開を左右しそうだ。ただ、対応を1つ間違えれば一気にゴール前まで攻め込む鋭さが名古屋にはある。リスクを抑えつつ、相手の堅守を崩す大胆な攻めを見せたい。
前回対戦は、開幕戦だった。お互いにチームの方向性が定まっていない中での戦いは、特に名古屋に未整備な部分が目立ち、鹿島が3-0の完勝を収めている。しかし、相手はタイトルを獲得した勢いがある。今回はそうは簡単にいかないはずだ。
[ 文:田中 滋 ]