前節は良いところが少なく、鈴木 優磨やレオ セアラといった自慢の攻撃陣も沈黙を強いられた鹿島。今季から古巣の監督に就任した鬼木 達監督は「やりたいことがあまりできなかった」と振り返る。1週間でチームの課題を見直し、ここまで取り組んできたことをピッチの上で表現できるようにしたい。
ただ、実は開始10分あたりまでは、狙いとするサッカーが表現できていた。下からつなぎながら相手ゴールに迫っていく形に勇気を持って取り組み、相手にボールを渡してもすぐに奪い返す理想の戦いができていた。しかし、少しリズムを崩すと取り組んできたビルドアップが機能しなくなり、ボールを失っても前へ、前へ出ていく強気な守備ができなくなる。構えて守備に入ることが多くなると、ピッチの幅を広く使う湘南の長所が出るようになってしまった。湘南と同様に、今節の対戦相手である東京Vも3バックを基本布陣とし、球際で戦い、チャンスとなれば思い切って前に出てくるチームだ。そうした相手に対し、勇気と覚悟を持って挑めるかが問われている。
一方、東京Vは開幕戦で昇格組の清水と対戦。ホーム会場の国立競技場には5万人を超える観衆が集まった中、自分たちの持ち味である球際の戦いで後手を踏み、0-1で敗れた。城福 浩監督は「どっちのボールになるか分からない局面のところで勝って初めて、相手を置き去りにする攻撃ができますが、今日はそこでことごとく負けていたと思います」と悔しさを隠さなかった。
鹿島も東京Vも、自分たちの持ち味や狙いとするサッカーを表現できなかったところは同じ。できなかったことに修正を加え、今節に臨んでくるだろう。とはいえ、サッカーは自分たちの表現を競うだけのスポーツではない。自分たちの狙いを消してくる相手の思惑を上回ることで初めて優位な立場に立つことができる。
「相手のウィークを狙うことは当たり前のようにやらなきゃいけない。サッカーでは、ストロングでありウィークであるという裏腹の部分がある。そういうものを狙って戦えればと思う」。鬼木 達監督は相手のストロングポイントをウィークポイントに転じられる戦いを狙う。
昨季のJ1第13節、県立カシマサッカースタジアムにおける対戦では、鹿島が3-0でリードしていたが、選手交代を機に3点を失い、3-3のドローに終わった。鹿島にとっては忘れられない試合であり、そのあとに行われた第28節では1-2で敗れている。
26年ぶりに鹿島に戻ってきた鬼木 達監督にとっては、久しぶりの県立カシマサッカースタジアムでの“ホームゲーム”となる。「カシマスタジアムでやれることは、自分自身にもいろんな思いがあります」と感慨深げ。ここからホーム3連戦となるだけに、まずはホーム開幕戦でサポーターが期待する結果を手にしたい。
[ 文:田中 滋 ]

