名古屋は前節、国立競技場で清水と戦い、今季アウェイ初勝利を収めた。スコアも3-0とたまっていた“借金”を幾分か返済。そのゴールも稲垣 祥のビューティフルなヘディングシュート、和泉 竜司の抜け目ないポジショニングから押し込んだもの、GKピサノ アレックス幸冬堀尾からボールをつないで崩し切ってのダメ押し点と、バリエーションも豊富だった。
ここまで苦しんできた名古屋が前節で快勝を飾れた理由の1つがシステム変更。攻撃的なポジションが得意な和泉 竜司をトップ下に据え、永井 謙佑とマテウス カストロの2トップという布陣を組んだ。明治安田J1第8節・横浜FM戦もそのユニットで戦って2-0の勝利を収めたものの、翌節以降は選手のコンディションの問題や対戦相手の傾向などを考えて1トップに戻していた。攻守の潤滑油になれるキャプテンがトップ下に入ったことでボールの回りが良くなり、ボランチやウイングバックも攻撃参加するタイミングが計りやすくなったと言えるだろう。
ただ、その和泉 竜司をトップ下に押し上げられたのは、右ウイングバックで第9節・湘南戦以来の先発となった内田 宅哉の存在があったから。右ウイングバックは言わばチームの“アキレス腱”となっていたポジションだが、その穴埋めにどこのポジションでも高いレベルでこなす背番号7を使わざるを得なかったことで、チームの最大限の力を発揮できないでいた。清水戦の快勝は、やはり和泉 竜司を攻撃的なポジションで使いたいと思わせるに十分だった。
今節はゴールデンウィーク連戦の中でも厳しい中2日というスケジュール。清水戦では早めの選手交代ができたが、間違いなく疲労は残っているはず。前節出場していない選手が中心となって発奮し、この波をビッグウェーブにできるようにチームをけん引したい。
対する岡山は、J2から昇格した勢いを見せた試合もあったが、直近4試合は勝利から遠ざかっている。前節は2年連続J1王者の神戸を相手に押し込む時間はあったものの決め切ることができず、後半に2失点を喫してしまった。
特筆すべきは、岡山が連敗を喫したのはJ2で戦っていた2023年8月以来だということ。そのしぶとさが岡山らしさであり、J1の舞台でも簡単に3連敗はしたくないと、今節は強い気持ちで臨むだろう。攻守のバランスは悪くなく、先制点が1つのポイントになりそうだ。
両者の対戦は、もちろんJ1では初めて。2017年のJ2で2試合、天皇杯では2012年度と2021年度に対戦している。直近は2021年度の天皇杯3回戦。そのときは1-0で名古屋が勝利するなど、4回の対戦すべてで名古屋が白星を挙げている。厳しい日程の中での総力戦となる今節、どちらが勝利に向けて執念を見せられるのか。ピッチ上の激しいバトルとともに、両チームのベンチワークにも注目したい。
[ 文:斎藤 孝一 ]
