最終盤にドラマ。その中心には鈴木優磨がいた
京都サンガF.C.
監督
試合が終わってから何分経ったか分かりませんが、「総括しろ」と言われてもまだできません。最後のワンプレーで、われわれにとって大事なポイントを落としてしまったことが現実です。日本代表で“ドーハの悲劇”と呼ばれている試合がありますが、ある意味“亀岡の悲劇”のような、そういうシチュエーションでした。 いま言えるのは、(残り3試合で)悲劇にならないようにすることです。日本代表はあの試合から立ち直って、いまのようなチームになりました。この最後のワンプレーは、僕が生きている間ずっと脳裏から離れないと思います。でも、いま選手とも話しましたが、事実としてわれわれにチャンスが残されていないわけじゃない。次の試合まで少し日程が空きますけれど、しっかり競争して、(次節・)マリノス戦で勝点3を取って可能性を探り続ける。それしか僕たちにはできません。 順位というのは最終戦が終わったあとに決まるもので、今日の結果もしも首位に勝点差2に詰められていたとしても、自分たちがチャンピオンになる保証はまったくないです。ここから本当に奇跡を起こせるようなパフォーマンスを出せるのか、選手と一緒にメンタルセットして臨みたいです。 ただ、いちサッカーファンとしては、お互いに非常にタイトでタフで面白いゲームが繰り広げられたんじゃないかなと感じています。勝たせる応援をしてくれたサポーターには申し訳ないですが、今日この亀岡の地で見せたフットボールは、皆さんの心にも残るんじゃないかなと思います。 最後の本当にあとワンプレーだったところでサッカーの厳しさを、長い間監督をやっていますけど、あらためて知るような試合になりました。でも、鹿島の選手も含めて、すごいファイティングスピリットを伴う試合だったなと思います。 --好ゲームを演出した1つの要因として、齊藤 未月選手の初出場とアピアタウィア 久選手の活躍があると思います。彼ら2人をこの大一番で起用した狙いと、パフォーマンスの評価をお願いします。狙いを話すことがはばかられるくらい、彼らのパフォーマンスは人の心を打つものだったと思います。2人ともプロになる前からつき合いがありますけれど、勝たせてやりたかったなと思います。退場を繰り返して悔しい思いをしたアピア(アピアタウィア)は、今日は1回もファウルがなくクリーンに戦っていましたし、攻撃面でもよくプレーしました。 交通事故に近いケガで選手生命を危ぶまれた未月も、自分の家族に「しっかり俺は戦えるよ」ということを見せられたと思いますし、それをサポーターが支えてくれたと思います。勝負を度外視すれば、非常にうれしい2人のプレーでした。
鹿島アントラーズ
監督
まず選手、そして両チームのサポーターが本当に熱量のある、魂のこもったゲームだったと思います。そういった中で、自分たちの入りのところ、また前半のところで、もっともっとアグレッシブに、なおかつ冷静に戦えば、後半のような形にもっと早く持っていけたと思います。ただ、ビハインドの中で最後の最後まであきらめずに、負けている状態であれば勝点1を目指してしっかり戦ってくれたと思います。神戸、京都と難しい相手で勝ち切れなかったですけど、もう次からは勝ち切っていかないと優勝はないと思っています。それに向けてしっかりと準備したいと思います。 --ラストプレーについて、そこで決めるのがエースの仕事だと思います。振り返っていかがですか?そうですね。最後のところは高さとかキレイな形だけではないと思うので、最後の最後まで、狙っていた。また全員が信じて、かなりゴール前の回数も増えてきていましたので、泥臭くてもというところで、そういうプレーを出してくれたと思います。気持ちがないと追いつけないゲームだったと思います。そういう意味で言うと、最後の最後まで、足をつりながら体を張って決め切った。そこは良かったと思います。 --この勝点1を生かすも殺すも今後の戦い次第となりましたが?本当にそこがすべてかなと思っています。勝てる保証なんて1つもないので、ホームだからとかそういうのもない。目の前の相手としっかり戦う。そして、目の前の相手をよりゲームの中で見極めて、改善しながら進んでいくしかない。そのためにはプレッシャーを楽しめるぐらいの頭を持たなきゃいけないし、本当にもっともっとアグレッシブに戦いたい。そういう思いが今日のゲームでより強くなりました。
--大一番が京都デビューとなりました。自分の良さを存分に出すだけだと思っていました。相手が鹿島ということで、球際やバトルの部分で絶対負けたくないし、そんなところで負けている場合じゃないと思っていました。そういう意味ではセカンドボールの回収だったり、球際のキワの部分などは良かったと思います。それに加えて、以前にはなかったクリアする場所であったり、味方につなぐヘディングであったり、そういうのも含めて、京都に来て状態が上がっているのが良かったです。 --練習を見ていても状態が上がってきていることが伝わってきます。京都へ来た当初は、あまりうまくいっていませんでした。自分がどれくらい動けるのか。今季は(神戸在籍時に)ACLEに少し出場しましたが(※神戸ではリーグ戦にも2試合出場)、準備ができていないなという感覚が多少ありました。もちろんプロなので、そのときはそういうふうにはまったく思っていなかったんですが、京都に来て高い強度での練習や練習試合をやった中で考えると「(当時は)よくやれていたな」というレベルではありました。スプリントなど自分の良さが出せる環境にいさせてもらえているのはありがたいし、この状況にさせてくれたチームに感謝しています。 --引き分けに終わった結果を受けて。もちろん引き分けで勝点1にとどまりましたが、もしも勝っていたらチームとしてもクラブとしても、少し完全燃焼感が出てしまって、残り3試合で右肩上がりではなく、下がっちゃう可能性があったかもしれません。そんなことは分からないし、(話していることも)後づけですけれど、でも勝点差が『5』であること。『6』じゃなくて『5』というのは、僕らにとって全然違います。あと3試合、シンプルに次の試合で1つ勝って、それが終わったら次のことを考えていく。それで勝っていけて、最後の(最終節・)神戸戦を迎えるときに勝点差が『2』であれば、プレッシャーが掛かるのは相手です。この展開が一番京都らしいと思います。プレースタイルもそうだし、チームとしてのスタイルもそうだし、選手たちを見てもそうだし。そこで最後で優勝して、完全燃焼すればいいと思うのです。そういう意味も含めて、チームの士気は上げられると思います。誰もあきらめていないですし、俺もあきらめていません。
鹿島アントラーズ
--最後の最後に追いつきました。どう受け止めていますか?もったいないですよ、前半は特に。相手につき合ったなって感じです。 --得点の場面はクロスに右足を伸ばしましたが?最後、左に配置されたので、クロスに入っていくという明確な指示も出ていた。そこは自分の強みでもあるし、最近はあまりないですけど強みでもあるので、久しぶりに出たかなというふうに思います。 --残り3つ勝ち続ければ……。いやもう、勝ち続けないと多分優勝できないです。今日はなんとかつなぎましたけど、残りの3つはもう自分たち(次第)だと思っているので、今日出た課題はチームで共有して、1回体を休めて、またやっていきたいと思います。
--勝点1をどう受け止めていますか?「簡単な試合は1つもない」と毎回言っていますけど、本当にアウェイの相手の土俵で、前回同様、苦しい時間もかなりありましたけど、後半は自分たちがやるサッカーを観ている人に伝えられたかなと思います。 --前半は相手の圧力を受けて苦しい展開になりました。全体的に前半はちょっと受け身まではいかないけど、ちょっと相手のサッカーにつき合う感じになっちゃったのは反省点かなと思います。上(のボール)でサッカーをやってくる相手だったのでそれにつき合わないで、やっぱり下で自分たちがはがして後半のようなサッカーをできれば、ゴールまで行ける回数は増えると思います。あとはああやってゴール前まで行ったら、もっとシュートの本数を増やしたいなと思います。
京都サンガF.C.
FW 11
マルコ トゥーリオ
先制点の場面では、動きからうまくスペースを見つけることができました。そこにボールも来たので、相手の逆を突いて、しっかり決められたゴールだったと思います。(それ以外にも)自分の仕事は、やはりチャンスメークだと思います。自分だけじゃなくて、チーム全体としても素晴らしいゲームができて、おのおのが本当に素晴らしいことをやったと思います。 --チームとしても前半から、良い試合への入り方ができていました。お互いにとって、素晴らしい試合になったんじゃないでしょうか。われわれもそうですし、鹿島さんの良いところも出たような首位争いの試合でした。京都に関しては前半15分過ぎから、ホームゲームということもあり、しっかりプレスに行けていて、ゲームコントロールができていたと思います。だから、チャンスをわりと作れて、良い試合展開になったと思います。 --後半も惜しいチャンスがありました。もしもGK(早川 友基)が出てきたら頭の上を狙っていたんですけれど、GKはしっかりポジションを取っていました。ゴールまではいかなかったけれど、(福田)心之助の素晴らしいパスだったのかなと思います。 --ラストプレーで白星がスルリと抜けていってしまいました。残り数秒というところで、引き分けになってしまいました。本当に残念ですが、われわれはまだ希望を捨てていません。最後まであきらめることなく、可能性がある限りタイトル争いに参加していきたいと思っています。ああいうことがもう起こらないように、しっかりと残り試合を頑張っていきたいです。
DF 2
福田 心之助
先制点が一番のターニングポイントでした。先制できたことで気持ちもそうですし、プレーにも余裕が生まれました。理想の試合展開を送れたのかなと思っています。 後半は相手も負けられない状況の中で圧力を掛けてきました。(選手交代で)3バックにしてからも自分たちの勢いを保とうとはしましたが、パワープレーに対して僕たちは今季、(J1第24節・)福岡戦など少しやられる傾向があります。やられないために全力を尽くしましたけれど、最後は「流石は鹿島だな」というふうには思いましたね。 --失点シーンでの守備対応について。相手が何人もゴール前にパワープレーに来ている状況でした。僕は(手前にいた)宮本(優太)選手がクロスに触るかなと思ったので、そのセカンドボールへの反応というか、一瞬見てしまいました。僕があそこでしっかり寄せていれば何も起こらなかったし、勝点3を拾えたゲームでした。相手のことは見えていたし、僕の中では捕まえられている感覚はありましたが……。誰かではなく、僕だけで解決できた問題だったと思います。 --今日はキャプテンマークを巻いてのプレーでした。前節(・湘南戦)に鈴木(義宜)選手が退場して、今週になったときにたぶん僕が巻くだろうなと思って、ずっと準備はしていました。前日に曺さん(曺 貴裁監督)から伝えられて、焦りや動揺はなかったです。ゲームキャプテンとしてできることはやったかなと自分では思っています。そういう後悔はいまのところはないし、キャプテンというよりかは1人のプレーヤーとして、あの最後を守れるか、守れないかが、今後の僕を成長させてくれると思います。