「いつかJ1の舞台で鹿島アントラーズと“茨城ダービー”で戦う」 その目標を抱きながら、Jリーグに参入してから26年間、J2で戦い続けてきた。経営問題による存続の危機やJ3降格の危機など苦難に直面しながらも、クラブ一丸となって乗り越えて、着実に一歩一歩前に進んできた。そして、昨季J2を制覇して、J1への切符をつかみ取った。そうした歴史の積み重ねにより、たどり着いた今節。これまで紡いできた人たちの思いを胸に刻んで、“常勝軍団”に挑む。「戦うだけでは歴史は変わらない。勝って歴史を変えたい」(飯田 貴敬)と勝利への執念を燃やしている。
8試合を終えて、勝点8で明治安田J1百年構想EASTグループ9位に沈んでいる水戸。初のトップカテゴリーでの挑戦は、苦い思いを繰り返している。ただ、「手ごたえを感じている」と飯田 貴敬が言うように、試合を重ねるごとに内容は向上しており、選手たちは自信をつかむことができている。前節・柏戦は0-3の大敗を喫したとはいえ、後半はボールを保持して多くのチャンスを作り出すことができた。あとは結果につなげるのみ。攻守におけるゴール前の精度を高めることが求められる。
対する鹿島は“要所”で強さを見せる、勝負強さを伝統とするチームだ。7連勝中の勢いを今節も見せてくることだろう。だからこそ、水戸は“決め切る”、“守り切る”局面でより一層強さを見せなければならない。そのために求められるのは積極性と泥臭さ。前節はチャンスでシュートを選択しない場面が目立ち、守備ではボールホルダーへの寄せが甘くなったスキを突かれて失点を喫した。ボールを保持しようが、多くのチャンスを作ろうが、そうした局面で強さを見せることができなければ、勝利を手にすることはできない。水戸としては『やりきる 走りきる 勝ちきる』というチームスローガンを体現することが勝利の条件となるだろう。
鹿島はここまで15得点を挙げているが、そのうちの9得点はPKを含むセットプレーの流れから決めたゴールであり、セットプレーに絶対的な自信を持っている。どんなに悪い流れでもセットプレー1本でスコアを動かすことができ、それが強さの秘訣の1つである。だからこそ、水戸はセットプレーのトレーニングに時間を割いてきた。セットプレーで失点を喫しないことはもちろんのこと、セットプレーで点を取って優位に試合を進められるか。セットプレーの攻防は今節の勝敗のカギを握ることとなる。
「4月4日は過去最高に茨城が盛り上がる日になる」(飯田 貴敬) 茨城県民の注目を集めて行われる今節。そこで勝どきを上げるのは、今まで“常勝軍団”として「茨城のサッカーを引っ張ってきた」(飯田 貴敬)鹿島か。それとも「新たな茨城の歴史を作る」(飯田 貴敬)と意気込む水戸か。
茨城の地で歩んできた両チームのプライドがぶつかり合う激戦が予想される。
[ 文:佐藤 拓也 ]