対照的な指揮官同士の戦いでもある。東京Vの永井 秀樹監督と福岡の長谷部 茂利監督は、かつてヴェルディ川崎の同僚で、一緒に中盤を組んだこともあるが、永井監督は「8割以上ボールを支配し、5-1で勝つ」ことを理想に掲げるのに対し、長谷部監督の率いる福岡のボール支配率は低く、ここまで21勝のうち1-0で勝った試合が『13』を数える。ボールポゼッションにこだわる東京Vと、アグレッシブかつ手堅いサッカーを身上とする福岡。かつて長谷部監督は選手に「俺はサッカーを楽しんで勝とうとは思っていない。勝つことによって楽しみたいんだ」と語ったという。対して永井監督は「もちろんサッカーに正解はないし、勝利にこだわるのも大事なこと」としながらも、「ボールを持つからこそサッカーは楽しい。ボールを持たなければ相手は何もできないわけだから、その楽しさを追求することがすなわち勝利に近づくことになる」との持論は譲らない。
8月12日にベスト電器スタジアムで行われた前回対戦は東京Vが3-1で勝利している。今季福岡が3失点以上したのはこの試合しかないが、当時の福岡はスタッフや選手に新型コロナウイルスの感染者が出た影響で、慣れないメンバーを組まざるを得なかった事情もある。長谷部監督としては当然、その雪辱を果たしたい気持ちは強いだろう。そして永井監督にとっても、あれから勝ち星を積み重ねて昇格に近づきつつあるかつての僚友に対し、再び勝利によって自らのサッカー哲学を証明したい気持ちは強いはずだ。
同じヴェルディOBにして真逆のサッカー哲学を持つ指揮官同士の一戦、勝利をつかむのはどちらか? 西が丘の夜が熱く燃える。
[ 文:芥川 和久 ]