仙台との昨季の対戦を振り返ると、ユアテックスタジアム仙台ではスコアレスドローに終わったが、埼玉スタジアム2002では興梠 慎三の見事なループシュートで浦和が勝利した。仙台としてみれば、2018年度の天皇杯決勝に引き続き、またも埼玉スタジアム2002での未勝利記録を更新してしまった形。その仙台は昨季限りで渡邉 晋監督が退任し、今季から新たに木山 隆之監督が就任した。千葉や愛媛、山形でチームをプレーオフにまで導くなど、J2でキャリアを積んできた新指揮官にとって初となるJ1の舞台。初戦はチームにとって“イヤな舞台”となるが、悪い流れを断ち切って勢いに乗れるだろうか。
浦和は1次、2次合わせて27日間の長期沖縄キャンプを敢行。体力作りや戦術の落とし込みを行いつつ、昨季とは対照的に5試合のトレーニングマッチを組み込んだが、これには岩波 拓也も「やっぱり試合でしか見えない課題もあるし、練習だけでは分からない部分もあるので、それを5試合できたのは大きい」と充実感をのぞかせている。キャンプ終了後は2日間のオフを挟み、12日より大原サッカー場でトレーニングを再開。ゲーム形式の練習を中心に連係やチーム戦術の確認を入念に行っているが、キャンプから一貫して組み合わせをシャッフルし続けており、誰がレギュラーとなるかはまったく分からない状況だ。
監督や選手からは「縦に速い攻撃」「攻撃的、主体的なサッカー」というフレーズがしきりに語られているが、アグレッシブな姿勢とともに、サイドの選手の特徴的な動きは今季のポイントになりそうなので注目してほしい。また、昨年12月の新強化体制記者会見で注目を浴びた『浦和の責任』について、「埼玉スタジアムが望んでいるようなパフォーマンスを選手全員が出さないといけないし、そういう責任がある選手がピッチに立っていくのがプロの世界」(岩波)、「特に昨年出ていた選手は責任と覚悟を持ってやる必要がある」(槙野 智章)、「正直なところ意識しているつもりはなくて、(浦和で育った人間として)それが当たり前だと思っている」(橋岡 大樹)などと、選手おのおのがそれぞれの感性で強く受け止めている。
今季は『3年計画』の1年目、なおかつその初戦がこのルヴァンカップ開幕戦となる。これだ、という目指すサッカーの形は、まだハッキリとは見えないかもしれない。流れるような連係はなかなか発揮できないかもしれない。ただ、岩波が「メンバーが大きく替わっていないということは、去年のふがいない戦いをやり返すチャンスをもらったと思っている」と語ったように、チーム全体の巻き返す決意、責任感には並々ならぬものがある。少なくとも、観客のハートに火をつけるサッカーの片りんは見られるはずだ。
[ 文:沖永 雄一郎 ]
