岐阜の上野 優作監督は、「普段のルヴァンカップは、出番がない選手や若い選手にチャンスがある大会で、そこで結果を出してリーグ戦につなげていきたいという思いがあったと思いますが、われわれは総力戦で戦っていきたいと思います」と、全力投球で今大会に臨む覚悟を見せている。
総力戦とならざるを得ない理由もある。大宮戦は直近の明治安田J3第3節・讃岐戦から中2日という日程。その後も中2日、中3日と連戦が続き、昨季はなかった公式戦5連戦に突入している。当然疲労はたまることが予想され、それを乗り越えるためには全選手が準備を整えていなくてはならない。
ただ、かつては主力の大半がベテランで、先発の平均年齢が30歳を超えることもあった岐阜だが、いまは若手選手も増え、チーム内競争も激しくなっている。「誰が出ても同じようなサッカーができる」と、手ごたえを口にする上野監督。実際にリーグ戦では交代出場の選手が結果を出すなど、チームとしての総合力は上がっている印象で、この連戦はそうした強みも発揮していきたい。
その中で注目したいのは、大卒4年目の生地 慶充だ。昨季は主に左利きの右SBとしてJ3リーグ戦37試合に出場したが、今季はここまで出場機会を得ていない。それというのも、今季は本職の中盤に再コンバートされたのだが、感覚が戻り切らずに「キャンプから少し手こずってしまった」とベンチにさえ入れずにいた。
それでも、運動量の豊富さと左足の独特なパスでリズムを作ることができる生地は、長いシーズンを考えると大事なピース。ルヴァンカップについて「チームを勢いづける意味でも大事な大会ですし、普段リーグ戦になかなか出られていない選手もチャンスがあると思うので、ここでアピールをしたい」と、レギュラー奪取のためにも大事な試合になると話す。
対する大宮はJ3第3節・福島戦が4月21日に設定されており、この試合は3月2日にホームで行われた第2節・岐阜戦以来、中10日での公式戦となる。前回の試合は、スタジアムの雰囲気にも後押しされ、序盤から主導権を握って試合を進めると、前半終了間際に先制。後半は岐阜に決定機を与える場面もあったが、しっかりと虎の子の1点を守り切った。
コンディション調整を問題なく進められた大宮は、ある程度岐阜の手の内を把握できていることに加え、ここから始まるタイトな公式戦4連戦も考慮してどういうメンバーをチョイスするのかが最初の注目ポイントだ。勝利すれば、2回戦でJ1名古屋と対戦。自分たちの現状を知るのに絶好の相手と戦えるが、それ以上に白星を積み重ねて自分たちのサッカーに自信をつけたいかもしれない。
リーグ戦の借りを返したい岐阜か、アウェイでも圧倒したい大宮か。リーグ戦同様の熱い試合が繰り広げられることになるだろう。
[ 文:斎藤 孝一 ]
