今季就任した林 健太郎監督は「ボールを支配して、攻撃も守備もスキを見せない」戦いを目指し、最終ラインからのポゼッションで相手陣へと前進していく戦術を基本としている。発展途上ゆえにミスも目立ち、バックパスが増えて、最後には守備陣がロングボールを蹴らされてしまう場面も多いが、相手のプレッシャーを回避してボールを前に運べるシーンも少しずつ増えている。
とはいえ、ジャイアントキリングを狙うためには、守備陣の踏ん張りが不可欠。ピンチの数を減らすことは簡単ではなく、先発が予想される櫻庭 立樹、2019年に浦和ユースからトップチームに昇格している大城 蛍、温井 駿斗などの踏ん張りによって、無失点の時間をどれだけ長くできるかが勝敗のカギを握るだろう。
それを前提として、中盤の底でボールの経由地となる世瀬 啓人や、的確なパスとキックで攻撃の中心となる普光院 誠が、パスワークの中心として機能することも求められる。第7節から4試合連続で同じ顔ぶれだったリーグ戦の先発メンバーは、21日の天皇杯鳥取県予選決勝にメンバー入りしておらず、4月14日のJ3第10節から十分な間隔を経て臨むことができるのはプラス材料だ。
浦和は4月20日のJ1第9節でG大阪に0-1で敗戦。第8節も柏に0-1で敗れており、今季初の連敗および2試合連続無得点で、3勝2分4敗の12位と苦しい状況が続いている。
調子が上がらない要因の1つは負傷者の多さ。鳴り物入りで加入したオラ ソルバッケンは負傷が癒えず、いまだメンバー入りすらしていない。関根 貴大は第5節から、酒井 宏樹は第6節の途中交代から離脱するなど、台所事情は苦しい。
今回の試合は、リーグ戦とは大きく異なる先発メンバーで臨むことになりそうだ。今季の天皇杯に参加できない浦和にとって、ルヴァンカップはバックアップメンバーを公式戦で起用できる唯一の機会と言える。4月28日からのリーグ戦の連戦を見据えても、これまで出場機会がなかった選手たちにチャンスが与えられる可能性が高いだろう。
早川 隼平、エカニット パンヤ、2015年から2020年まで鳥取に在籍し、岡山、京都を経て今季から浦和でプレーする井上 黎生人などが、今季公式戦初出場に奮起してハイパフォーマンスを発揮すれば、個々の能力、チーム力ともに鳥取を上回ることは間違いない。ただ、攻めあぐねて0-0の時間が後半まで続いたり、先制されたりすれば、格上のチームとして勝利への重圧が増すことになる。前述の負傷者の多さゆえ、リーグ戦の主力も一定数は控えメンバーに入りそうで、そうしたスペシャルな存在が試合を決めることになるかもしれない。
[ 文:石倉 利英 ]
