山口 智監督が率いて4年目となる湘南。今季は『一戦必湘』のスローガンを掲げ、文字どおり一戦必勝態勢でリーグ戦を戦っている。田中 聡や鈴木 章斗ら若手が躍動するも、思うようには勝点を積み上げられず、昇格組の東京Vに敗れた明治安田J1第6節以降は降格圏付近を推移。直近の第9節は上位の神戸とホームで対戦し、90+3分に武藤 嘉紀に決勝点をねじ込まれ、万事休す。第2節以降の7試合は勝利から遠ざかり、18位に沈んでいる。
リーグ戦ではここまで全試合で失点を喫しており、そのうち複数失点が6試合あるだけに、守備の引き締めが急務と言えそうだ。今週末に行われる、20位・札幌との“シックスポイントマッチ”に向け、勝利が何よりの良薬となるのは間違いなく、ルヴァンカップで秋田を下してはずみをつけたいところ。
対する秋田は吉田 謙監督が5年目の指揮を執る。「走力・球際・切り替え」の原則を重視し、ロングボールを積極的に活用する縦に速いサッカーを徹底して、初のJ2挑戦となった2021年以降は中位を維持。今季はプレーオフ進出を目標としてリーグ戦に臨んでいる。
直近のJ2第11節は千葉とのアウェイ戦を2-1で制した。開始から千葉に攻め込まれながらも無失点で折り返して迎えた後半に、蜂須賀 孝治がこの日2回目の警告で退場し、数的不利の状態となる。主導権を握った千葉に先制を許すも、最少失点でしのいで反撃の糸口を探り、90分に途中出場の半田 航也がロングスローの流れから同点ゴールを叩き込む。これで完全に流れをひっくり返した秋田は、青木 翔大のPK失敗をものともせず、大石 竜平のCKを才藤 龍治が頭で合わせて逆転勝利。驚嘆すべき粘り強さで6位に浮上した。
こうして迎える湘南戦。半田の同点ゴールをアシストした岡﨑 亮平は湘南ユース出身。そのまま湘南でプロデビューを果たしており、対湘南においては初めての古巣戦だ。「小学生から育ったところなので楽しみ」と胸を躍らせる。
秋田のキャプテンの諸岡 裕人と、湘南の池田 昌生は福島で2年間ともに戦った間柄。諸岡は2023年に秋田へ、池田は2021年に湘南へとステップアップを果たした。ステージを変えてピッチでの再会が実現すれば、互いに燃えるものがあるはずだ。
ホームでの試合とはいえ、秋田は負傷者が相次ぐ苦しい台所事情があり、さらに中2日の日程が厳しさに拍車を掛ける。しかし、梶谷 政仁が「J1に挑戦できる良い機会」と話すように、格上の相手との対戦には代えがたい喜びがある。「いろいろなところから見られているという意識がみんなもあると思う。結果を残すことに集中したい」と梶谷は意気込む。
秋田県にとっても、J1チームがやってくる意義は大きい。吉田監督は「徹底的に挑戦すること、チーム全員で挑む姿を表現してくれると信じている」と選手たちに信頼を寄せる。千葉戦のように、最後まであきらめず勝利を目指す意思を地元で見せてくれるはずだ。
5月22日、新潟が待つ3回戦にコマを進めるのはどちらか。
[ 文:竹内 松裕 ]

