横浜FMは過去五度の出場で三度のPK戦負けを含み、一度もこのタイトルに届いていない。前回出場の2020年は対戦相手の神戸と合わせて9人連続PK失敗の末に敗北。歴史の一端を知るだけでも、FUJIFILM SUPER CUPへ懸けるクラブの思いが強いことは想像に難くない。負の歴史を知る5年連続主将の喜田 拓也は語る。
「いつも手が届いていないタイトル。クラブとして絶対獲りにいかないといけないタイトルでもある。僕たちにはたくさんの人が関わり、(自分たちの哲学やスタイルを)信じ貫き通してきて積み上げてきたものがある。このチームは近年、歴史を変えてきた。その意味でも今回は歴史を変えるべきタイミング。強い気持ちを持って挑んでいきたい」 横浜FMの陣容に目を移せば、変化があった。昨季の最優秀選手賞に輝いた岩田 智輝(セルティック)、クラブの顔だった仲川 輝人(FC東京)、2年連続2ケタ得点のレオ セアラ(C大阪)が移籍。さらに4日には昨季のベストイレブンの1人・高丘 陽平が、海外クラブへの移籍を前提とした交渉等のため、チームを離れる不測のアクシデントもあった。一方、新たに加わったのは上島 拓巳や植中 朝日ら伸びシロが見込める選手が中心。水沼 宏太、西村 拓真、エウベル、アンデルソン ロペスら前線の顔ぶれは重厚なだけに、GKを含め、昨季の主力から顔ぶれが変わる守備陣がどれだけ仕上がっているかが焦点となる。
対する甲府は、札幌に始まり、鳥栖、福岡、鹿島、広島とJ1勢を5連破して国内最古のカップ戦を制し、出場権を獲得した。勢いそのままに、“初出場・初制覇”への鼻息も荒い。今季から地元・山梨県出身の篠田 善之新監督を招聘し、クラブ伝統の3バックから4バックに衣替えする新機軸をすでに打ち出している。
顔ぶれも大きく変わった。その目玉は、2019年にエースとしてチームをけん引したピーター ウタカの復帰だろう。1トップに据えることで、前線の怖さは一気に増しそうだ。J1屈指のポゼッション力を誇る横浜FMが相手なだけに、守備に回る時間帯が長くなることが予想される。その苦しい時間をしのぎ、カウンターやセットプレーからチャンスを作れるか。そこでピーター ウタカの一発にかかる期待は大きい。
懸念点は新戦力や若手が多く、始動から約1カ月間でどれだけ指揮官が志向する戦術を落とし込めているか。結果も大事にはなるが、長丁場のリーグ戦に向けて課題を見つけ、2017年以来となるJ1復帰への足がかりをつかみたい舞台でもある。
異例の“J1vsJ2対決”。日本代表の躍進により先のカタールW杯で盛り上がったサッカー熱をさらに高めるような、エンターテインメント性あふれる熱戦を期待したい。
[ 文:大林 洋平 ]


