福岡、甲府ともに天皇杯における最高成績はベスト8進出。つまり、この試合に勝ってベスト4進出となればクラブとしての歴史を塗り替えることになる。
長谷部 茂利監督が率いる福岡は今季の目標の1つに『カップ戦でのベスト4進出』を掲げた。すでにJリーグYBCルヴァンカップで過去最高となるベスト4への進出を決めているが、長谷部監督が「カップ戦ベスト4という目標をルヴァンカップに続いて達成できるということで、全力で挑んでいく」と言うように、この天皇杯においてのベスト4進出への意欲もまた高いものがある。
チームの副主将の1人で、今季のカップ戦でキャプテンマークを巻いてプレーする機会が多い輪湖 直樹は、甲府戦に向けて「チームがまた前に進んでいけるような良いきっかけの試合になればいい」、「個人的には、勝つために自分にできることは何でもする。何がなんでも勝つためにプレーしたいと思っている」と話している。
福岡はリーグ戦においては現在7戦未勝利、2連敗中。リーグ前節・名古屋戦を2-3で落として15位に後退し、J1参入プレーオフ圏の16位・G大阪と勝点で並ぶという苦境に立たされている。この甲府戦での勝利を苦境脱出の契機にしたいという強い思いがチーム内にはあるのだ。
連戦が続く中での今ゲームはコンディション面を考え、リーグ戦での出場機会が少ない選手で戦う可能性はあるが、天皇杯とルヴァンカップのここまでの戦いも同様であり、それでもきっちりと結果を出してきているので、その点においての不安はない。きっと出番を得た選手たちが意欲的なプレーを披露するだろう。
輪湖が「自分たちがやることは何1つ変わらないし、自分たちがやるべきことを一つひとつこなしていけば勝ちに近づけるので、相手のことをあまり気にせず、自分たちに意識を向けて戦いたい」と話すように、下位カテゴリーのチームとの対戦で気が緩むという心配をする必要もなさそうだ。
一方の甲府も、福岡と同じくリーグ戦で苦しんでいる状況にある。プレーオフ進出が現実的な目標になる中で、リーグ前節・徳島戦で0-2の敗戦。それまで8戦負けなしと粘り強く戦ってきたが、明治安田J2第25節・仙台戦以来の敗戦を喫して、6位・大分との勝点差が『10』に広がった。そういう状況にある甲府もまた、福岡同様にこの一戦の勝利をリーグ戦での反撃の契機としたいと考えるだろう。
甲府はリーグ戦でここまで34試合中15試合がドローと、勝ち切れない試合が続いている。徳島戦後に吉田 達磨監督が「出過ぎてしまったところと下がり過ぎてしまったところが出て、それが失点に至ってしまう。そして、後半のような形が得点に至らないというのも僕らが抱えてきた今季の苦しさ」と話すように、しぶとく勝点1を手にしてきた戦いも、裏を返せば、攻守それぞれで壁を突き破るだけのパワーを出し切れないということでもある。
しかし今回は上位カテゴリーの福岡が相手ということが、開き直りともいえる思い切りの良いアクションの表現につながる可能性もあり、そうなればアップセットを起こす可能性は十分にある。
残り少なくなったリーグ戦の戦いを左右することにもなるこの一戦、かなりアツいものになりそうだ。
[ 文:島田 徹 ]