「最後の試合ですけど、全力でやりたい。この一戦のためだけにと言っても過言ではないぐらい、トレーニングから一生懸命やってきましたから。自分が点を取るというよりかは、やっぱり勝ちたい。勝ちにこだわった姿勢を見せられればいいかなと思います」(
興梠 慎三) 順位表だけを見れば、浦和にとっては消化試合。しかし、特別な試合になる。今季限りで現役を引退する興梠と
宇賀神 友弥との別れの舞台だからだ。
公式戦である以上、まず結果と内容が問われるわけだが、2人の花道をどう演出するかが焦点になる。昨季の明治安田J1最終節・札幌対浦和では現役ラストマッチとなった小野 伸二が、今季のJ2第37節・愛媛対山口では現役ホームラストマッチとなった
森脇 良太が、それぞれ先発出場して途中交代。選手たちに送り出されてピッチをあとにする感動的な光景があった。
ただ、マチェイ スコルジャ監督は「われわれの第1の目標はこの試合で勝つこと。メディカル的な問題がなければ、慎三もウガ(宇賀神)もメンバー入りさせたい」と起用に関する明言を避けた。指揮官にとっては、試合のすう勢を決した上での途中投入が理想的なのかもしれない。ただ、興梠も宇賀神も調子は上々で、“途中交代前提の先発”があっても決して驚きではない。
一方の新潟は、浦和の感傷にお付き合いするわけにはいかない。現在17位で、降格圏の18位・磐田との勝点差、得失点差はともに『3』。引き分け以上なら自力でJ1残留を達成できるが、敗戦となった場合は磐田、新潟と勝点で並び得失点差で『4』上回られている柏の結果次第となる。そんな中、浦和とのリーグ戦通算対戦成績は3勝6分26敗。すこぶる相性の悪い相手と残留を占う最終節で相まみえることとなる。
しかし、松橋 力蔵監督は「どこを相手にしても、相性は意識しない」と意に介さず。「もちろん対策も必要だが、やっぱり自分たちの力をどう発揮していくかが大事だし、守っているだけじゃ勝てない」と、あくまで自力で残留を勝ち取るつもりだ。SB
藤原 奏哉も「これまでチームでやってきたことを変える必要はない」と、新潟本来の戦い方を貫くことを強調した。
そうした新潟の事情は浦和のマチェイ スコルジャ監督も重々承知で、「J1はどの試合も難しいですが、最終節で残留争いをしている相手となると、われわれのモチベーションが最高の状態でないといけない」と気を引き締める。そう前置きしつつ、「ただ、それに関しては満員のホームで最終節をプレーしますし、慎三やウガにとっても最後になりますから、高いモチベーションで臨んでくれると思います」と自チームに期待を寄せた。その上で前節・福岡戦の戦い方、“テスト”を継続しつつ、メンバーを少し替えることを示唆している。
浦和が興梠、宇賀神のラストマッチで大団円を迎えるのか、新潟がそれを阻んで残留を自ら手繰り寄せるのか。多くの人々の感情が高ぶる、今後を左右する一戦になる。
[ 文:沖永 雄一郎 ]