5月17日（水） 2006 ヤマザキナビスコカップ
福岡 1 - 1 横浜FM　（19:00／博多球／5,459人）
得点者：'49 久藤清一（福岡）、'75 オウンゴ−ル（横浜FM）
----------
■特Ｊ！プレイヤー： 神山　竜一選手（福岡）
　（選手名をクリック＆投票して、JOMOオールスターサッカーに選出しよう！）
----------

前節から中2日の影響と、互いに勝ちきれないというチーム状況を、そのまま反映したような試合だった。福岡は4分の川島、5分の古賀、そして横浜FMは6分のマグロンと、互いに早い時間帯からシュートを放ったものの、それ以降が続かない。互いに運動量もスピードも上がらず、プレーに集中力を欠く試合は低調な内容で進んでいく。特に疲労の影響は守備面に強く表われ、相手ボールの場面ではズルズルと下がるシーンが多く見受けられた。

試合が動き始めたのは前半17分、横浜FMでけがの平野孝に代わって吉田孝行がピッチに登場してからだった。2列目で積極的に動き回る吉田に触発されたように横浜FMの中盤が活性化。大島秀夫を中心に、吉田、清水範久、狩野健太、河合竜二らが円を描くように繰り返すポジションチェンジとダイレクトプレーでボールを前へ運んでいく。福岡はこの動きに全く付いていけず。特に右サイドの守備はほとんど機能せず防戦一方に追い込まれた。
しかし、このチャンスをモノに出来ないのが今の横浜FM。24分、吉田のシュートはGK神山竜一のファインセーブの前に阻まれ、福岡の守備組織を完全に崩して、ゴール前の至近距離から放った狩野のシュートはクロスバーを叩く。さらに前半終了間際に訪れた2度の決定的なチャンスに放った大島のシュートは、再びGK神山のファインセーブの前に弾き返された。結局、前半は0−0のまま終了。決め切れなかった横浜FMも、守備組織が機能しなかった福岡も不満の残る前半だった。

後半もチャンスを作るのは横浜FM。開始0分に清水のシュートが、49分には大島のヘディングシュートがゴールを襲う。しかし、先制点を奪ったのは福岡。時間は49分、左サイドを駆け上がった古賀誠史のクロスを久藤がヘディング。このシュートは相手DFに当たったが、足元にこぼれたボールを再び久藤が右足でシュート。ゴールネットが大きく揺れた。好セーブを見せてゴールを死守する神山のプレーに報いるゴール。これで福岡が主導権を引き寄せた。

ゴールを奪ったことでリズムが出てきた福岡は、いつものように早い寄せで横浜FMに自由を与えず、中盤に空いたスペースを利用して攻撃を仕掛ける。だが、チャンスを決めきれないのが福岡の問題点。64分にはカウンターからチャンスを作り、最後はGKとの1対1の場面から川島が放ったシュートもGK榎本哲也に弾かれた。決めるときに決められなければ相手にペースが移るのはサッカーの常。再び横浜FMに押し込まれ始めた福岡は75分にオウンゴールを献上。そして試合は1−1のまま試合終了のホイッスルを聞いた。

「いつも通りチャンスに決められなくて、また簡単に失点してしまった。すぐには治らないと言っているが、また同じパターン。今日は引き分けになっただけ、少しはましになったかなという気がしている」（岡田武史監督・横浜FM）
「引き分けも結果が出なかったと言わざるを得ない試合。無失点に抑えれば勝てた試合だが、毎回、無失点じゃないと勝てないということでは少しきつい。追加点を奪うチャンスがあっただけに残念な結果」（松田浩監督・福岡）

抱える課題に改善の傾向が見られない両チームの指揮官は、最後まで厳しい表情を崩さなかった。中断期間前の公式戦はあと1試合。「再開に向けて次の試合を勝つということが大事だと思うんで、いい感じで勝って締めたい」（古賀誠史・福岡）。それは両チームに共通する思い。中3日の厳しいスケジュールを跳ね返して、最良の薬である勝点3を手に入れたい。


以上

2006.05.18 Reported by 中倉一志