9月30日(土) 2006 J2リーグ戦 第43節
仙台 5 - 2 草津 (14:04/ユアスタ/11,146人)
得点者:'22 齋藤竜(草津)、'28 ボルジェス(仙台)、'37 ロペス(仙台)、'69 ボルジェス(仙台)、'72 ボルジェス(仙台)、'74 チカ(草津)、'87 チアゴネーヴィス(仙台)
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仙台にとって大量5得点は、第18節、アウェーでの鳥栖戦以来。
ブラジルトリオが得点者の欄にそろい踏みしたのに至っては、開幕戦だった第2節の徳島戦以来の出来事。その上、ボルジェスには今季2度目のハットトリックという勲章までついた。
しかも今日のチーム2点目、ロペスのゴールは、完璧な胸トラップから流れるようなフォームでバイシクルシュート、GK高木も動けず…という美しいもので、試合後の会見でジョエル サンタナ監督も「今シーズンのベスト5に入るもの。トラップ、オーバーヘッドのキック、そしてゴール、どれを見ても非常に質の高いゴールで、あのゴールを見ただけで入場料の半分の価値はあったと思う」と賛辞を惜しまないほどのものだった。
しかし、何か胸のつかえが取れない。
確かに「入場料の半分」は元が取れたかもしれない。では「もう半分」は?
そしてこの「もう半分」こそ、ある意味ゴールラッシュ以上に、サポーターが見せて欲しかったはずのものでは?
仙台は5−2というインパクトのあるスコアで、草津に勝利した。しかし端的に言って、ゲーム内容は褒められるものではなかった。
立ち上がりから草津は、この対戦でもはや「お約束」となっているマンマークを敷いてきた。表記を見る限り3人を並べたCBの内、田中はロペスへ執拗なマーク、残るチカと齋藤は2人でボルジェスを見る。さらに今回は、ダブルボランチに並んだ秋葉と鳥居塚が、それぞれ仙台にとって中盤の選手である梁と大柴に食らいつく念の入れようだった。だがいつもの草津と違い、この日はマークを担当する各々に「ファールででも止める」といわんほどの執念が感じられず、ロペスやボルジェスに簡単に前を向かれるばかりか、仙台に2、3本のパス交換でフリーの選手を作られていた。草津・植木監督が語っていたように(過去の仙台戦の印象で語れば)まずひたむきな守備で相手を苦しめるところから草津のサッカーは始まっていたのだから、これでは草津としてのゲームプランは成り立たないはずである。
ところが、草津のマークの緩さ以上に、仙台にはチーム内に「緩さ」が感じられた。1つのルーズボールに2人が被りボールを失ったり、不用意な繋ぎでカウンターの危機を迎える。ゴール前までボールを運んでも、シュートが枠にことごとく向かない。
その間に、先制点を草津がさらっていく。22分、右からのCKで中井が入れたライナー性の速いボール。飛び出した小針が触れず、ファーに走りこんできた齋藤がヘッドで流し込んだ。前節の横浜FC戦、セットプレーからの失点が相次いだにも関わらずの光景に、仙台サポーターは言葉を無くし、実際にここからしばらく、太鼓など鳴り物の音色が消えた。
さすがにこの「異変」が選手の目を覚まさせたか、ここからは仙台の時間が続く。28分にはスローインからの展開で大柴が上げたセンタリングを、ボルジェスがヘッドで決めて同点に。さらに37分には、梁と熊林が右サイドで細かなパス回しを見せた後、ゴール前に飛び込んでいった中田へスルーパスが通る。中田が上げた山なりのセンタリングによって、冒頭で触れたロペスの美しい得点が生まれ、仙台は何とかハーフタイムをリードで迎えることができた。
草津が反撃のため4バックへと切り替え、守備が前半以上に手薄になったこともあり、仙台の攻勢は後半に入っても続き、69分にはボルジェスと中田が右45度でワンツー、ゴール前に侵入したボルジェスがGKの手を弾き飛ばす強烈なシュートを決めれば、72分には草津守備陣に致命的なミス。DFラインを超えて、ペナルティエリアに落ちてきたボールを高木と齋藤がお見合い、隙間に入り込んだボルジェスがかっさらい、ハットトリックとなるゴールを決めた。これで4−1。
しかし、やはりこの日の仙台は、ゲームを締めることが出来ない。直後の74分には、再びCKから今度はチカにヘッドで決められる失態。
しかもその後、2バック状態で守備を度外視して前へ出てきた草津に対し、仙台はカウンターを完遂させる集中力も、守備を固める意識もどちらも見えない、ただ漫然とした時間を過ごしてしまった。数的有利を作りながら簡単なスルーパスをミスしてみたり、シュートチャンスでボールを持ちすぎる、あるいは無駄に強烈に振りぬきバーにヒットさせる場面も。さらにはリードしている側であるにも関わらず、審判に抗議しているうちに草津にリスタートでサイドチェンジされ、際どいフィニッシュまでもって行かれる場面も。87分に「トリオ・ゴール」を完成させるチアゴ ネーヴィスの得点が決まるが、終盤にチャンスの山を得たはずの仙台の攻撃陣に「一発必中」の意識は感じられなかった。本当に昇格を諦めていないのならば、得失点差を思うと1ゴールとて余計なものは無いはずなのだが…。
例えは悪いかもしれないが、試合の終盤には、まるでフレンドリーマッチを思わせる光景が広がり、真剣勝負の張り詰めた緊張感は、明らかに薄らいでいた。
このゲームに欠けていた「もう半分」。それはすなわち(昇格など、何かを争っているか否かは関係なく)プロとしては一試合も、一分も、そして一瞬も、無駄な時間など無いことを体現するような、チーム全体、そして選手各々が抱くべき「集中力」だったのでないか(このことは草津にも言える)。
90分を通じたゲームへの集中。それが出来ずに仙台は、勝ちきれるはずの試合を引き分けに持ち込まれ、時に最低限の報酬となりえた勝点1すらも失ってきた。
5得点という大勝は、そんな戒めを一瞬忘れさせそうになる。しかし、この日垣間見せた問題を、決して見逃すわけにはいかない。
以上
2006.09.30 Reported by 佐々木 聡
J’s GOALニュース
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