3月15日（日） 2009 J1リーグ戦 第2節
新潟 2 - 1 鹿島　（14:03／東北電ス／37,808人）
得点者：9' 矢野貴章（新潟）、12' ペドロジュニオール（新潟）、89' 岩政大樹（鹿島）
☆顔写真クイズ｜勝敗予想ゲーム

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新潟が鹿島を2-1で下し、開幕2連勝。前半9分、松下年宏の右サイドからのFKを、矢野貴章が頭で合わせて先制。その3分後、マルシオ・リシャルデスのスルーパスからペドロ・ジュニオールがゴール前にドリブルで進入し、追加点を奪った。後半は鹿島に押し込まれる時間帯が長かったが、ロスタイムの1点に抑えた。鹿島はボールがつながらずに苦戦。後半に入って運動量が落ちた新潟のすきを突き、8本のシュートを放ったが、得点は終了間際の岩政大樹のゴール1つにとどまった。

技ありの1発がチームを勢いに乗せた。「狙ったわけではないですけどね」。先制ゴールを振り返った矢野は照れ笑いを浮かべた。

前半9分の松下年宏のフリーキック。ゴール前の混戦で、「ニアにいる相手にクリアされないように」とポジショニングに気をつけた。相手より先にボールに近づこうとすると、「そこにボールが来た」。頭にヒットすると同時にゴールに向かって首を振る。右上の隅に飛んだボールは、ジャンプする鹿島GK・曽ヶ端を振り切ってマウスに収まった。

前節のF東京戦、新潟は4-1で快勝した。3トップのうちペドロ・ジュニオールが2得点、大島秀夫が1得点。矢野は豊富な運動量で献身的なプレーを見せたが、得点はなかった。「アウェイで得点できなかったので、今日は取れてよかった」。ホッとしたのが本音だった。

矢野に続いたのがペドロ・ジュニオールだった。12分、マルシオ・リシャルデスが中央でボールをカットすると、すぐに左サイドを駆け上がった。「マルシオがボールを持った時点で自分にパスが来ると思った」。その読みの通りに、前線にスルーパス。それを収めるとドリブルのスピードを上げてゴール前へ。最後は逆サイドの隅に左足で流し込んだ。これで2試合連続ゴールの合計3得点。「続けて得点できたことはうれしい」。同時に「それよりもチームが勝てたことがうれしい」。37000人の大観衆に白星をプレゼントできたことを喜んだ。

早々と奪ったリードにも気が緩むことはなかった。後半、鹿島の分厚い攻撃に遭い、自陣に釘付けに。ゴール前にボールを放り込んでくる相手の攻撃を、千代反田充、永田充の両センターがシャットアウト。「後半は気持ち的な部分で声をかけあった」。永田が言うように、猛攻にさらされながらも集中力を保ち続けた。終了間際にFKからゴールを許すが、それまでは決定的な場面はほとんど作らせなかった。

新潟がリーグ戦で鹿島から勝点3を奪ったのは、2004年のセカンドステージ第12節以来、5年ぶり。当時のスタメンは、今はいない。長い間立ちふさがっていた壁をようやく乗り越えた。

鹿島にとっては不完全燃焼の敗戦だった。セットプレーで失点し、その残像が消えないうちに2失点目。岩政が「立ち上がりがすべてだった」というように、後手に回った展開から抜け切れなかった。後半、小笠原満男の投入で中盤からチャンスが生まれたが、新潟を慌てさせるようなシーンはなかった。11日のACL・水原戦でも序盤に2失点。嫌な形の取られ方が続く。「今の状態を打開することが大切」（岩政）と、再確認しなければならない部分がはっきりと見えた。

収穫は小笠原満男の復調。後半開始からの出場で、パスを出して起点となると同時に、2本のシュートを放った。積極的にゴールに絡もうとする本来の動きが見え始めてきた。「浦和戦は10分、水原戦は25分、この試合は後半の45分を使うつもりだった」。コンディションはオリヴェイラ監督の計算通りに仕上がってきた。今後、チームの立て直しの中心を担うことになる。

開幕初勝利、そして2連勝と勢いづいてきた新潟は、第3節で大分と対戦。2006年からリーグ戦では未勝利の相手。鹿島同様の難敵を相手に今の力をぶつける。鹿島のリーグ戦はホームに帰って広島が相手。チームの結束力が試される。

明暗を分けた両チームともに、次節が大きな意味を持つ試合になる。

以上

2009.03.15 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）