本文へ移動

今日の試合速報

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第2節 広島 vs 大宮】レポート:広島、自滅。大宮、集中を切らさず、逆転勝利(09.03.15)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月15日(日) 2009 J1リーグ戦 第2節
広島 2 - 3 大宮 (14:05/広島ビ/20,312人)
得点者:3' 高萩洋次郎(広島)、41' マト(大宮)、49' 森脇良太(広島)、72' 市川雅彦(大宮)、79' マト(大宮)
顔写真クイズ勝敗予想ゲーム
----------

 広島が試合を決定づける場面は、2つあった。1つは、前半33分のPKのシーンだ。
 高萩洋次郎の折り返しに佐藤寿人が飛び込み、冨田大介のファウルを誘って得たPK。キッカーはエースか、と思われたが、ボールをセットしたのは槙野智章。U-20日本代表の時も、昨年のJ2や天皇杯の時も、彼はしっかりとPKを決めている。それも、自らゴールに背を向け、振り向きざまにボールを蹴る形で。
 見た目はリスキーに見えるこのキックだが、槙野なりの理屈があった。
「PKは駆け引き。自分の表情を見せない方が、相手に迷いが生じるから」
 絶対の自信を持っていたはずだったが、結果は失敗。いつもなら強烈な弾道を残すはずの彼のキックが、ボテボテの当たりになって転がった。ボールを置きにいったことが、裏目に出てしまったのだ。

 ペトロヴィッチ監督は「マラドーナだって、PKを外すことはある」と語った。昨年、柏木陽介や森崎浩司もPKを失敗したが、その試合でしっかりと勝利を収めている。つまり問題は「その後に、自分のプレーを見失ってしまったこと」(ペトロヴィッチ監督)なのだ。ここでは指揮官は、槙野のプレーについて語っているが、問題は彼だけではない。
 この日、ポゼッションの場面でいつもの安定感を欠いていた。追加点を欲しがるあまり前線の選手が前に張り付き、中盤に選手が揃っていなかったからだ。いつもなら選手が次々と中盤におりてきてボールを受け、テンポアップして試合を支配していくのだが、そのリズムが出ない。その傾向が、前半の終了間際は顕著になってきていた。
 41分、波戸康広がドリブルで仕掛ける。森脇良太が身体を寄せ、ボールに向かって足を出す。が、ヴェテランの波戸はそのプレーを読み切り、瞬間的にボールを前に出した。結果として、森脇の足は波戸をひっかけ、判定はPK。本来は2-0だったはずの前半だが、結果として1-1。非常に微妙な状況が生まれてしまった。

 後半、その森脇が一気にゴール前まで飛び込み、ヘッドで叩き込む。
 2-1。
 その後、広島は圧倒的にボールを支配し、決定機を量産した。55分の佐藤寿人が放ったヘディング。59分の柏木陽介のシュート。そう、広島が試合を決められた2つめのシーンが、この時間帯だ。ここで2点差にしておけば、若い広島は勢いづき、大宮に焦りが生じたはず。だが、現実は逆となった。
 62分、大宮は石原直樹に代えて、市川雅彦をピッチに投入。「石原も藤田も、90分は保たない。どこで得点力のある市川を投入するか、考えていた」と張外龍監督は語るが、結果的にこの采配が当たった。
 72分、槙野が左タッチライン際でパスを受け、ストヤノフへ。この瞬間、市川がグンッとスピードアップし、ストヤノフに強烈なプレスをかける。森脇にパスをするか、GKに戻せば問題はなかったが、ストヤノフはここで縦パスを選択する。が、それは完全に読まれていた。ボランチの新井涼平がカットし、そのままカウンター発動。新井のパスをストヤノフはカットしようとしたが、そのこぼれを藤田祥史に拾われる。2対1の状況をつくり、最後はチャンスをつくりだしたニューヒーロー=市川がゴール。さらに79分、橋本早十のCKをマトが押し込んで、大宮逆転。これも槙野がマトのマークを外してしまったことから、生まれた。

 まさに、自滅。しかしそれは、大宮のあきらめない気持ちと「我慢」が呼び込んだ広島の自壊だった、と言っていい。
 ほとんどの時間帯を広島に支配され、2度まで勝ち越されながら、結果として大宮は逆転勝利を収めた。「この勝点3は大きい」と張外龍監督が言うのも無理はない。我慢して集中を切らさず、広島のミスを誘って逆転したことは、まさに大宮の面目躍如。チームコンセプトがしっかりと浸透し、勝つためのサッカーに徹底できる潔さが、勝利を導いた。

 一方の広島は、何とももったいない星を落とした。それも、広島がもっとも懸念した組み立てのミスとセットプレーから起こった逆転劇。ショックは、決して小さくはない。
 しかし、ここでしっかりと前を向き、次へ向かうことが重要。ホーム開幕戦としてはクラブ史上初めて、2万人超え(20,312人)を実現できたことは「僕らのサッカーに魅力を感じてくれているから」(青山敏弘)であることは確か。しかし、こういうミスからの自滅を見せられると、サポーターは空しいばかり。どうして自滅してしまったのか、チームの中でしっかりと話し合い、ほころびを縫う努力をしよう。そうでなくても、次は王者・鹿島(3/22@カシマ)。大宮以上に、少しのミスも彼らは許してくれない。
 
以上

2009.03.16 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
サッカーのポジション解説
サッカーの試合時間・タイムルール
インテンシティ
オフサイド
ビルドアップ

テレビ放送

一覧へ

FIFAワールドカップ・アジア予選 2次予選
2024年6月6日(木)21:10 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/06/02(日) 00:00 ハイライト:広島vs磐田【明治安田J1 第17節】