12月29日（火）第89回天皇杯準決勝 名古屋 vs 清水（13:00KICK OFF/エコパ）
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　「優勝することしか考えていない」（岡崎慎司）。それは清水の全員に共通する想いだ。天皇杯では4年ぶりにベスト4に進み、長谷川健太監督の下では2度目の決勝進出、そして現体制で初のタイトル獲得とAFCチャンピオンズリーグ（ACL）出場を目指して、モチベーションは非常に高まっている。

　「やることはやったので、あとは選手たちを信じ、勝利を信じ、自分自身を信じて戦っていきたい」と長谷川監督が語る通り、2週間ちょっとのインターバルで集中力の高いトレーニングを行ってきた。選手個々のコンディションもひと頃よりかなり戻ってきて、「個人としてもチームとしても良い感じで試合を迎えられる」とキャプテンの兵働昭弘も語る。

名古屋に対する戦い方に関しては、リーグ最終節で対戦していることもあり、イメージはできている。名古屋が前回と同じ4-1-4-1のような形で来るかどうかは断定できないが、前線にそびえるケネディの高さに対しては、「ケネディへのロングボールでラインが下がってしまうと、相手に押し込まれる時間が長くなってしまうので、前回と同じようにラインを細かく上げ下げしてコンパクトにして、セカンドボールも拾っていきたい」（市川大祐）という形で対応する。実際、最終節の戦い方を見ても、単純な高さ勝負ではなかなか勝てていなかったが、それでもラインが下がらなかったのは試合展開に大きく影響した。そこは、今回の対戦でも大きな見どころのひとつになるだろう。
あとは、自分たちらしい守り方をするだけ。前回は、アンカーの位置に入った三都主アレサンドロに自由にボールを持たせてしまう時間帯もあったが、そこはコンディションの上がってきたヨンセンと岡崎の2トップがしっかりとプレッシャーをかけていくだろう。そして、良い位置でボールを奪うことができれば、バイタルエリアや相手サイドバックの裏にスペースができていることが多いため、そこを得意の速攻で突き、ゴールに結びつけられるかどうかが重要なポイントになる。
また、自分たちがボールを支配した中では、「いかに数的優位を作ってサイドを崩すかとか、左で作って相手を寄せておいて右を使うとか、いろいろ狙いはあるので、ゲームの状況によって考えながらやっていきたい」（藤本淳吾）という意識を持っている。どちらもサイドチェンジを活かしたサイド攻撃は狙っているが、そこでの攻守でどちらが上回れるのかという点も、勝負の分かれ目になりそうだ。

このように戦術的にもさまざまな要素があるが、最終的に勝負を分けるのは「試合に臨む気持ちや姿勢とか、球際の部分で相手を上回ることだと思う」（兵働）という部分。そこもチーム全体に共通する意識であり、ボランチの本田拓也も「球際のところは自分が先頭に立ってガツガツ行って、ボールを奪いたい」と気合いを見せる。
エースの岡崎も、準々決勝の新潟戦で久しぶりにゴールを決めており、「身体も動いているし、フローデ（ヨンセン）のとのコンビは問題ないので、自分としてはとにかく点を取りたい」とゴールへの貪欲さをさらに高めている。
もちろん、名古屋のほうも2年連続のACL出場に向けて、勝ちたいという気持ちは非常に強い。実力的にも拮抗して、非常に緊迫した激戦になる可能性は高いだろう。だからこそ、「ここまで来たら、どちらが『勝つ』という気持ちが強いかどうか。少しでも弱気になったり諦めたりしたら、そのチームが負けると思う。最後の笛が鳴るまで、どちらが強い気持ちで戦えるかどうか」（長谷川監督）という部分が、90分間、あるいは120分プラスαという大勝負の結末を、大きく左右することになる。

以上

2009.12.28 Reported by 前島芳雄