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６戦未勝利の18位・富山と、４戦未勝利で16位の東京Vがぶつかる。ともに今季まだ２勝。浮上への手掛かりを模索中だが、前節もそろって手痛い黒星を喫した。久しぶりの勝利で光明を見いだすのはどちらか。
富山はアウェイの前節、水戸に０−３で完敗した。前半から出来が悪く、26分に失点。リズムをつまめないまま後半20、28分に追加点とダメ押し点を奪われた。安間貴義監督は「最終ラインが下がりっ放しになった。前列も後ろに引っ張られて５バック状態になり守りが機能しなかった」と言う。「３バックの弱点を突かれたというよりも自分たちの問題」と振り返った。守備陣に負傷者が多く、DF足助翔らが欠場している。代わって出場している若手は経験が少なく、序盤に流れに乗り損ねると立て直すことができなかった。
指揮官が最も残念がったのはプレーに積極性が感じられなかったこと。［３-３-３-１］のフォーメーションは前線からの攻撃的な守りが生命線。高い位置でのチャレンジを恐れて後ろで無駄に選手を余らせることは厳禁とされる。新システムは選手のアグレッシブなプレーを引き出すために導入された。半面、アグレッシブさがなければ機能しないシステムであるとも言える。だからこそ、消極的なプレーは見過ごすことができない。
週初め14日のミーティングで監督は、チャレンジ精神を忘れないことを強調。水戸戦で力を出し切れなかった選手には、ミスを怖がらずにプレーするように訴えた。
書籍『グッドラック』（アレックス・ロビラ著）にある、魔法のクローバーを探す騎士の挿話を語って聞かせたという。幸運とは自ら引き寄せるものであり、思慮深く準備を重ねなければいけないこと。そして、そのためには強い意志が必要であることを伝えた。「日ごろの練習で準備はできている。あとはゲームの中で思いっ切りプレーしてチャンスを生かしてほしい」と語った。
先発メンバーに入れ替えの可能性があり、16日の紅白戦には選考の意味合いがあった。全員のプレーに活気があり、互いに大きな声で指示を出し合っていた。惜しみなく走り回り、25分×２本を終えてFW木本敬介とDF吉川健太、松原優吉はその場でしゃがみ込むほどだった。今週も準備に怠りはない。７試合ぶりの勝利を目指して実戦で行動あるのみだ。
東京Vは前節、草津に１−３で敗れて２連敗となった。開始３分に横パスをインターセプトされカウンターから先制点を許すなど、隙を突かれて失点を重ねた。ゲームの全体像をみると、パスは回るし、チャンスも作れている。ただ、前々節の横浜FC戦から続いてミスが敗戦につながっている点が気掛かり。今節はMF飯尾一慶が出場停止。川勝良一監督は前節と同様にメンバーの顔ぶれを変えることで新風を吹き込む考えのようだ。
主将のDF富澤清太郎、GK土肥洋一をけがで欠き、ほかにも体調が万全でない選手が少なくない。しかし、前節から復帰したDF森勇介、オランダへの移籍が報じられている高木善朗をはじめまだまだタレントは豊富。不振をばねに、団結して底力を発揮する可能性は高いとみてよいだろう。
安間監督は「開始からしばらくは東京Vにボールを回されると思うが慌てずに対応してほしい。相手のミスを誘発させるまで自分たちがしっかり寄せることができるかがポイント」と話した。まずはメンバー発表に注目したい。MF谷田悠介に戦列復帰の可能性があり、DF江添建次郎は「そろそろベテランの出番。勝利に貢献して存在感を示したい」と意気込む。メンバーの変更が組織にどんな変化を生むのか。そして、チームが苦しい時期をどう乗り切るのか。選手たちを信じ、その結末を楽しみに待ちたい。
富山はMF朝日大輔がリーグ戦で49試合連続して先発出場しており、今節で50試合の節目を迎える。チームがJ２に昇格した09年から継続中の記録だ。筆者が手元の資料で調べたところ、昨年のJ2で全36試合に先発出場したのは５人。うち今季も連続先発を続けているのは朝日と千葉のMF佐藤勇人、熊本のGK南雄太（佐藤は09年のJ1京都時代から数えると前節が連続50試合目）のみ。実力はもちろん、さまざまな要素がそろわなければ成し遂げられないことであり特記した。
以上
2011.06.18 Reported by 赤壁逸朗
