移籍やケガなどが重なり苦しい台所事情での戦いを余儀なくされている草津が、セカンドホームである熊谷陸上競技場に２位京都を迎えて５試合ぶりの勝利を目指す。栃木から熊本という過密日程のアウェイ２連戦を連続ドローで凌いでホームへ戻った草津は、サポーターの後方支援を受けて今季京都戦の連勝を狙う。

夏場の移籍期間を利用し着々と補強を図ったクラブがある一方で、草津はスケールダウンしてしまった。８月上旬に司令塔へベルチがC大阪へ期限付き移籍、北関東ダービー直前の18日にはリンコンの契約解除を発表。今季リーグワースト３位の総得点となっている攻撃陣だが、計９点を挙げたチーム得点ランク１位のヘベルチ、同２位のリンコンを放出したことで攻撃力は低下した。さらに新ブラジル人アレックスラファエルが左足肉離れで戦線離脱。攻撃の迫力不足は否めない状況となった。

プレーオフ進出に向けたクラブのビジョンがかすれていく一方で、ピッチの選手、スタッフは限界まで戦い抜いている。前々節栃木戦では死力を尽くして戦い、栃木を追い詰めた末のスコアレスドロー。前節熊本戦は不運な失点により１点をリードされる展開ながらも、ゲーム終盤にドローへと追いつき貴重な勝点１を手にした。この２戦では、試合終了のホイッスルとともにピッチに倒れ込む選手が続出。「残った選手たちで戦うしかない」（御厨）。チームの勝利のために選手は走り抜いている。

草津にとってはまさに総力戦となっているが、前節はルーキー横山翔平がチームに新たな刺激を吹き込んだ。１点ビハインドで迎えた後半32分、コーナーキックからの混戦で、こぼれ球に反応しゴールネットを揺らしてJ初ゴール。今季チャンスを与えられながらもJの洗礼を浴びて苦しみ続けたルーキーの一発。決して華麗なゴールではなかったが、この１点で横山は変われるはずだ。「ドリブルやスルーなど自分の武器を生かしてゴールに絡みたい」（横山）。京都、久保裕也と同じ年齢の高卒ルーキーは、今節２位京都を相手に２戦連発を狙う。

２位京都は前節ホーム松本戦で不覚を喫して０−１で敗れ、６連勝がストップした。今節草津戦は首位甲府を追撃するための仕切り直しの一戦となる。京都は、前回対戦で草津相手に初黒星を喫したため、下位チーム相手からの２連敗は是が非でも避けたいところ。京都は組織的なプレッシングで草津を囲んで、自慢のパスワークでゴールまでの道筋を探りたい。敵地でスタイルを貫けるかがポイントだ。

草津は前々節から前線のターゲットにロングボールを入れる戦術を選択している。今節もロングボールを有効に活用して京都のDFラインに揺さぶりをかけていくことが予想される。京都のプレスに屈してロングを選択するのではなく、狙いを持ってロングを蹴っていくことで戦い方は１８０度変わってくる。現在、ケガ人をのぞいた草津のメンバーは１８人。今節も残っているメンバー全員のベンチ入りが予想され、まさに総力戦で京都を迎え撃つ。今ゲームは、選手、サポーターが余力なきまでに戦い抜いた先にだけ勝点３が存在する。

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2012.08.25 Reported by 伊藤寿学