前節、広島との大一番を引き分けた磐田。山田大記が試合終了間際に足を吊るほど苛酷な夏場のコンディションの中で、当時首位だった広島を最後まで苦しめた。価値ある勝点１の功労者と言えるボランチ藤田義明が、今節の神戸戦は警告累積で出場停止だが、磐田の強さが落ちることはないだろう。先週の天皇杯２回戦では、前田遼一と駒野友一を代表で欠き、トップ下の松浦拓弥がコンディション不良で出場を回避するなかで、東海社会人リーグ１部のFC鈴鹿ランポーレに７−０と圧勝。カテゴリーが違う相手とはいえ、改めて選手層の厚さを証明してみせた。

対照的に、神戸はリーグ２試合未勝利で、先週の天皇杯２回戦ではJFLのSAGAWA SHIGA FCに１−２と苦い敗戦。加えて、今節はワールドカップ予選で活躍したセンターバックの伊野波雅彦が警告累積で出場停止と厳しい状況だ。
ただ、両チームの対戦成績をみれば、神戸が2005年以降のJ1でホーム無敗（４勝１分０敗）。今年６月の第14節では小川慶治朗のJ1初ハットトリックで３−１と快勝している。磐田にとってはホームで今季唯一の黒星を喫しているのが神戸だ。単純に相性という側面だけを見れば、神戸に部があると言えなくもない。
小川も「先週（天皇杯）のショックで気持ちがかなり落ち込んだ。（今週水曜に）でも、テレビの取材で前回の磐田戦のことを質問されているうちに、（いいイメージを）思い出した。個人的にはプロになって初めてのユニバー（神戸ユニバー記念競技場）ですし、今季の目標13点（背番号と同じ）まであと６点もあるので、絶対にゴールを決めたい」と意欲的。天皇杯の悪夢をゴールという結果で払拭し、サポーターの信頼を回復させるつもりだ。
また、ユニバーがプロデビューの地でもある北本久仁衛は「（伊野波の出場停止で）ペアが変わると思うけれど、誰と組んでも信頼関係は築けているので心配はしていない。ただ、代表戦でも活躍した駒野選手と前田選手のホットラインは“スペシャル”だと思うので、ディフェンスの当たり所を決めてみんなで厳しくいきたい」と語気を強める。
水曜の練習（紅白戦）では、北本とイ グァンソン、北本と岩波拓也がコンビを組んでいたが……。「ここ２カ月ほどで３kg重も増え、自分でも身体全体が一回り大きくなった気がする」という岩波のJ１デビューにも期待は高まる。

ほかにもJ1デビューの可能性があるのが、アンデルソンとフェルナンドのブラジル人コンビだ。水曜日の練習では２人とも紅白戦で主力組に入っており、特にフェルナンドに関しては西野朗監督も「今、一番伸びている選手。得点への意欲も高い」と評す。フェルナンド自身も、サポーターへのメッセージとして「週末に出場したら結果を残したい。ゴールしたら皆さんのところに飛び込みに行きます！」と宣言。ステップアップリーグでゴールを量産しているアタッカーは、年に一度のユニバーでデビュー戦初ゴールという花火を打ち上げ、チームに快勝をもたらすつもりだ。

※当日は“本物”の花火も打ち上げられる予定です

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2012.09.14 Reported by 白井邦彦