ともにリーグ戦を2連勝、そして天皇杯も勝利。しかも、それら公式戦3試合で相手を完封。攻守に安定感を増しつつある14位Ｃ大阪と6位名古屋が、今節Ｃ大阪のホーム、大阪長居スタジアムで激突する。前回の対戦となった第13節では、お互いにベストの状態ではないなかＣ大阪がケンペスのゴールを守りきり1-0で勝利。ただし、今回はともに好調なうえほぼメンバーが揃ったなかでの試合となるだけに、激しい攻防が展開される好ゲームの予感が存分に漂う。

最低限のノルマであるJ1残留をできるだけ早く確実にしたいＣ大阪。第23節のホーム横浜FM戦は2-0で勝利。監督交代を挟む形で続く第24節、残留争いのライバルでもある新潟との直接対決では、アウェイで柿谷曜一朗の決勝点により1-0と勝ち切り、約半年ぶりの連勝を達成。16位新潟との勝点差も5に広げることができた。ただし、「僕たちは残り10試合、1つでも（多く）勝たなければいけない。負けられない。相手がどこであれ勝つしかないと思うし、リーグ3連勝をしっかり決めたい」と主将の藤本康太。まだまだ気の抜けない戦いが続くだけに、このホームゲームは何としても落とせない。

それでも、試合を重ねるごとにＣ大阪の良さがどんどん出てきているのは確か。そのなかで、「いまは、ハードワークと切り替えの速さというセルジオ（ソアレス前監督）色のいいところと、レヴィー（クルピ監督）の、自由奔放ながらも責任感のある、個人をまっとうするサッカーがうまくミックスしてきている」（小菊昭雄コーチ）、「セルジオの（培った）ハードワークというものプラス、ある程度自由を与えられた攻撃陣が伸び伸びとやるというところで、昨年よりパワーアップしている」（茂庭照幸）。スタッフ、選手の思いが一致しているのは、チームとしてまとまってきている証拠とも言えるだろう。「いま、いい流れできているのでＣ大阪らしいサッカーをすれば勝てると思う。自分たちのサッカーをすることを考えて、プレーしていきたい」と扇原貴宏。今週も連日のように長時間のトレーニングを行い連係を高めていたＣ大阪が、その成果を出すことができれば今季初のリーグ戦3連勝も果たせるはずだ。そのためにも、チームを牽引する柿谷の3戦連発ゴールがなるかというところにも期待が高まる。

一方の名古屋は、Ｃ大阪に敗れたときには一時13位にまで低迷したこともあったが、今では6位。ただ、残り10試合で首位仙台とは勝点7の差が開いていることを考えると、覇権奪還のためにはこちらも勝ち続けるしかない。そこで天皇杯のFC刈谷戦にて、負傷明けのケネディ、玉田圭司が約2カ月ぶりに公式戦でフル出場できたのは明るい材料。ここ3試合では金崎夢生（第23節川崎F戦）、玉田（第24節柏戦）、増川隆洋、小川佳純（以上、天皇杯2回戦FC刈谷戦）と、どこからでも点を取れるようになっており、攻撃のバリエーションも増えてきた。

それに、「前々回とか、センターバック（増川、ダニエル）が出場停止になっていたなか1−0でしぶとく勝っていたように、名古屋のようなチームがああいう（しぶとい）戦い方をやって、そこから（勝利を）積み上げようとしているので、そういうところは逆に嫌な部分はある」とＣ大阪の高橋大輔が警戒するように、リーグ戦では2試合連続1−0と、最少スコアで勝利するなど、名古屋らしい勝負強さも出てきている。こちらも、アウェイであれ今季リーグ戦初の3連勝を果敢に狙ってくるだろう。

中盤での細かなパス回しとポゼッションで勝負する『レヴィーセレッソ』。田中マルクス闘莉王らを中心とした高さや、藤本淳吾らのセットプレー、それに「1対1になると、あのスピードは本当に脅威になる」と扇原も警戒するFW永井謙佑を擁するなど、圧倒的な個の力が特長のストイコビッチ監督率いる名古屋。今回はどちらがその持ち味を活かすことができるのか。山口螢、扇原、杉本健勇と、永井のロンドンオリンピック日本代表勢の対決も見どころのひとつとなるなか、タイムアップのホイッスルが吹かれるまで、この一戦からは目を離すことはできない。

以上

2012.09.14 Reported by 前田敏勝