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コラム

百年構想のある風景

2015/1/30 10:00

社長は古い

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クラブ経営者の名前を「社長」と言わずに、もっと適切な呼び方はないだろうか?Jリーグの開幕当初、そんなことを真剣に議論したことがあった。1995年にできたホームタウン制推進に関する研究会の話である。 会の目的は、地域に根ざすホームタウン制の考え方に、クラブの現状を合わせていこうというもの。誕生して間もない頃は、ホームタウン制を唱えながらも、実態はまだまだ理想のカタチに追いつかない。自らをクラブと言わずに、球団や会社と呼んだところもあった。さらに、チーム名に企業名が残っている、ホームタウンにスタジアムがない、オフィスや練習場が他県にあるなどなど。様々な矛盾を普通のクラブの姿に近づけてきた、この20年。良いアイデアがないまま残された問題が、クラブ経営者の呼称である。

明治時代の札幌農学校のクラーク博士は、『少年よ、大志を抱け』で有名だ。この名言には、続きがある。「少年よ、大志を抱け。それは金銭や我欲のためではなく、いわゆる名声という空しいものであってはならない。人が人として備えなければならない全てのことを成し遂げるために、大志を抱け」この言葉には、夢を語る高潔な人間をこころざせという意味合いがあるのではないか。 クラブには、生まれた瞬間から社会的使命が託されている。経営の目的は、金儲けや売名行為ではない。クラブを通じてスポーツ文化を具現化し、地域に夢や希望をもたらすことにある。法人形態が株式会社なら、何でも「社長」と呼ぶのは古くさい。地域のスポーツ文化を担うリーダーを示すのに、一言でその志が伝わらないと。その思いは、今も当時の研究会メンバーに残っている。 「頭取」と聞くと、すぐに銀行を思い浮かべるだろう。由来は、雅楽で首席演奏する「音頭取り」の俗称から。やがて、能や歌舞伎の主奏者もそう呼ばれ、集団のかしらの意味をもつ。明治になり、銀行の前身である為替会社の出資者代表を頭取と呼ぶようになった。

以降、銀行の代表者を頭取と呼ぶ。コーポレートガバナンス先進地の米国では、呼称で経営者の使命を明確にしている。CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)は、その一例である。 名前には、組織の顔をつくる相乗効果がある。20年前、Jリーグの初代理事長は、自らを「“チェアマン”(Chairman)と呼んで下さい」と世の中に発信した。地域に根ざすというスポーツ文化に馴染みのなかった人々は新鮮な驚きを覚え、リーグの至高な理念がひろまった。呼称によって、そろそろクラブ経営者のアイデンティティを確立できないか。たとえば、「会長」COC(Chairman of Club)なんかはどうだろう。まずは、アイデア募集からである。