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AFC CHAMPIONS LEAGUE (ACL)2020グループリーグ日程
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コラム

北條 聡の一字休戦

2015/6/20 13:30

レッズ進化論 27.3%の強みとは?(♯16)

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個人的に数学は嫌いですが、数字は嫌いじゃありません。試合はもちろん、チームや個人のデータ(記録)なんかを眺めていると時間を忘れます。そんなわけで(?)今季の明治安田生命J1リーグにおける数字について書いてみようかと。テーマは『得点パターン』です。種類はいろいろとあり、クラブによって総得点に占める各パターンの比率(割合)も当然ながら違います。ただし、最もゴールにつながりやすいパターンはほぼ同じ。何のことはない、セットプレーなんですね、これが。

今季の浦和はセットプレーとほぼ同じ割合でクロスから得点を奪っている。
今季の浦和はセットプレーとほぼ同じ割合でクロスから得点を奪っている。

ここで定義するセットプレーとはPK、直接FK、間接FK、CK、スローインなどを含めたものです。日本代表を率いるハリルホジッチ監督は「現代サッカーにおける得点の約33%はセットプレーから生まれる」と話していますね。J1も例外じゃありません。15節終了時点で総得点に占めるセットプレーの割合が最も高いのは14クラブで、うち13クラブで得点の比率が30%超えです。ちなみに、トップ5を上から順に並べると、次のとおり。

1位=松本山雅FC(73%)、2位=モンテディオ山形(67%)、3位=サガン鳥栖(59%)、4位=ヴァンフォーレ甲府(55%)、5位=名古屋グランパス、FC東京(いずれも53%)。実に総得点の半分以上がセットプレー。いや、昇格組の松本と山形の総得点の「3分の2以上」がセットプレーなんです。逆に総得点の「3分の1」を下回るのが14位=浦和レッズ(27%)、15位=アルビレックス新潟(26%)、16位=川崎フロンターレ(23%)、17位=ヴィッセル神戸(20%)、18位=横浜F・マリノス(15%)。ここで注目したいのが浦和です。

クロスの重要な担い手となる関根はすでに5アシストを記録。
クロスの重要な担い手となる関根はすでに5アシストを記録。

今季の浦和の総得点33は断トツ。セットプレーの割合が低いのは、それだけ攻め手が多いということの裏返しでしょうか。そして、特筆すべき得点パターンが「クロス」なんです。比率はセットプレーと同じ27%(厳密には27.3%)。これは全18クラブの中で最も高い比率です。しかも9ゴールを量産中。川崎F (7得点)と仙台(6得点)を除く計15クラブが5点以下ですから、際立った数字でしょうか。同時に、このクロスとゴールの「幸せな関係」に進化の跡がうかがえます。

というのも、昨季の総得点に占めるクロスの割合はわずか9.6%。そこから3倍近く数字が伸びたわけです。クロスの重要な担い手となる関根 貴大選手と宇賀神 友弥選手の両アウトサイドがそれぞれ5アシストを記録。個人的に印象深いのは、FC東京戦(12節)の22点目ですね。タイミングよく左サイドを駆け上がった宇賀神選手の会心のクロスを、大外で完全にフリーとなった関根選手が難なくボレー。FC東京のディフェンス組織を完璧に崩してみせました。

オーバーラップよりインナーラップを多用する隠れサイドバックの森脇。
オーバーラップよりインナーラップを多用する隠れサイドバックの森脇。

今季は引いて守る相手を崩しきる力が向上し、下位クラス相手に取りこぼすケースがありません。得意のドリブルで深々とえぐる関根選手のプルバック(マイナスの折り返し)やGKと最終ラインの間にボールをすべり込ませる宇賀神選手のアーリークロスは良質のもので、ゴールの匂いをプンプン漂わせています。技術の関根、走力の宇賀神とキャラの違いはありますが、どちらもアシスト役として遜色のない働き。右からも左からも崩す手立てを持っているのは大きな強みでしょう。

ちなみに、ボール支配率は昨季とほぼ同じ(57.8%)。セットプレーの比率もほとんど変わっていません。だから余計にクロスの進歩に目を奪われるということですね。敵が密集した中央からの攻めに固執し、サイドへ展開してもアバウトなクロスでチャンスを潰してしまう某代表チームとは、えらい違いで…。隠れサイドバックの森脇 良太、槙野 智章両選手がオーバーラップよりインナーラップを多用するサポートの在り方も含め、浦和の『27.3%』は研究する価値がありそうです。