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コラム

北條 聡の一字休戦

2015/9/11 21:13

決然と巨人に立ち向かう 松本山雅にダビデを見る(♯23)

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いざ、残留へ――。今季、J1初参戦となった松本山雅の決死のサバイバルが気になって仕方がありません。目下、年間順位は16位。降格圏内に足を踏み入れています。15位のアルビレックス新潟との勝ち点差は4。もっとも、松本はモンテディオ山形と同様に消化した試合数が1つ少ない状況です。そこをお忘れなく。泣いても笑っても、残り9試合。残留に向けて1つでも多く勝ち点を拾っていくしかありません。負ければ敗退のトーナメント戦に臨む心境に近いでしょう。

降格圏内に足を踏み入れている松本。1試合消化が少ないとはいえ状況は厳しい
降格圏内に足を踏み入れている松本。1試合消化が少ないとはいえ状況は厳しい

残留に必要な勝ち点は、どのくらいでしょうか。まさに捕らぬ狸の皮算用ですが、あくまでも目安ということで。過去5シーズンの残留ラインを見ると(1)2010年=38ポイント(2)2011年=36ポイント(3)2012年=40ポイント(4)2013年=37ポイント(5)2014年=36ポイント。残留の条件は「年間試合数+勝ち点3=37」といったところですね。現在の松本の勝ち点は21ですから、あと15~16ポイントを稼がなければなりません。大変なミッションでしょう。

どうすれば、勝ち点が手に入るか。ポイントは実に明快。クリーンシート(無失点)です。無失点で乗り切れば、最低でも勝ち点1を拾えるわけですから、そりゃ当然でしょ、という話でもありますが。実際、今季の松本は失点を喫して勝った試合は1つもありません。1失点に抑えた試合でも1分け3敗です。1-0が3試合、2-0が3試合、0-0が1試合。勝ち点を拾った9試合中、7試合が無失点でした。難易度はともかく、活路は『ヤマガチオ』にアリ――というわけです。

カギを握るのはクリーンシート(無失点)。当たり前だが失点しなければ負けることはない
カギを握るのはクリーンシート(無失点)。当たり前だが失点しなければ負けることはない

前節の柏レイソル戦(8月20日)の後、反町 康治監督も「まずはゼロに抑えないといけない。複数得点できるチームではないし、無失点に抑えることを考えたい」と話しています。4連敗の悪い流れを断つ上でも、約3週間の小休止は「渡りに船」だったのではないでしょうか。この中断期間に戦力として十分に計算できるキム・ボギョン選手の加入も決まりました。ゴールに絡む働きが期待できそうです。それを生かすためにも、まずは無失点という大前提をお忘れなく。

勝負は立ち上がりの15分――。1-0で競り勝ったヴァンフォーレ甲府戦の後、反町監督が話していました。うちは最初の15分に最も失点が多いチームだと。勝ち点を落とした試合の多くは早々に勝敗が決していた、と言えるかもしれませんね。キックオフから100%、フルスロットルで行けるかどうか。全身全霊。それこそ松本の美徳、山雅の誇りと勝手に思い込んでいます。反町監督が常々口にする「ひたむきさ」が最初の15分で全開なら、何でも起こり得る。そう信じたいですね。

「我々は最初から怖がって、やられるのを待っているわけじゃない。ブレーキをかけながらボールを奪いにいくのではなく、常に100%以上の力を出していく。もちろん、そこで剥がされてしまうかもしれないが、それが我々らしさ。自分たちのストロングなところ(強み)を出していく」

反町監督はチームを残留から救い、ダビデとなれるか
反町監督はチームを残留から救い、ダビデとなれるか

反町監督の言葉から伝わってくるのは「勇気」と「潔さ」でしょうか。試合を見ていて、ついつい松本に肩入れしてしまう一因です。1試合平均のポゼッション率は39・9%。すぐ上の甲府が45%ですから、戦力格差は推して知るべし、でしょう。J1で最もジャイアントキリングの言葉が似つかわしいチームです。聖書の物語――巨人ゴリアテに立ち向かい、これを負かした少年ダビデの勇気、信仰、敵の死角(額)を狙うしたたかさ。小が大を食う物語のポイントは今も昔も同じですね。

自分たちの力を信じて、勇敢に戦い、敵の急所を突く――。残り9試合、ダビデのように振る舞う松本をぜひ見たいものです。ちなみにゴリアテの額を撃ち抜いたダビデの「投石」は、ロングスローということで、どうでしょう? オチなんぞ不要ですね。ともかく、人事を尽くし天命を待つ。結末はどうであれ、最後まで応援しますよ、少年(ダビデ)のような指揮官を。