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コラム

データコラム 数的有意

2023/4/27 18:00

2023明治安田生命J1リーグ序盤戦ボールを保持しないチームの上位進出

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2023明治安田生命J1リーグは4月15日時点で全チームが8試合を消化し、シーズンの約4分の1が終了。今回は現時点での上位チームに注目し、昨季との大きな違いである「ボール保持率が低いチームの上位進出」にスポットライトを当てる。
※4月15日終了時点でのデータを使用

2022シーズンの最終順位は、1位横浜F・マリノス、2位川崎フロンターレ、3位サンフレッチェ広島で、いずれのチームもボール保持率は5割を超えており、特に1位の横浜F・マリノスは57.9%、2位の川崎フロンターレは55.6%と高い数値を記録。多くの時間でボール保持を行い、主導権を握って勝点を積み重ねるスタイルが、昨季上位陣の主流だったといえる。

一方で、今季のここまでの上位2チームを見ると、どちらもボール保持率が5割を切っており、1位のヴィッセル神戸の47.6%はリーグで14位、2位の名古屋グランパスの43.0%にいたってはリーグの中でもっとも低い数値となっている。ボール保持率が低いチームの上位進出は、今季序盤戦における特色のひとつだといえる。

 

●ヴィッセル神戸

昨季は前半戦で大きく苦しみ、13位に沈んだヴィッセル神戸だが、今季は序盤戦で6勝1分1敗の勝点19を獲得。首位に立っている。

ボール保持率の低さのほかに特徴的なスタッツとしては、「ボール奪取から15秒未満での得点」が7ゴールでリーグ2位となっており、速攻の形が結果に結びついている。また、ロングパス比率が16.5%でリーグ1位、クロス数が159本でリーグ1位と、前線の選手をシンプルに使った攻撃を仕掛ける狙いが見て取れる。そのうえ、PA内からのシュート数は67本でリーグ3位と数字を残していることからもわかるとおり、ゴールに近い位置からのシュートシーンも多い。初瀬 亮や酒井 高徳といったクロス精度の高い選手たちが躍動し、前線につながれば大迫 勇也(5ゴール/リーグ1位タイ)や武藤 嘉紀(PA内シュート19本/リーグ1位タイ)といった強力なストライカーが仕留めるという形が確立されていることが、上位進出につながっているといえる。

また、ここまで3失点(名古屋グランパスと並んでリーグ最少)と守備の安定感も誇っており、特に相手に打たれた枠内シュート数は12本しかなく、これは2位タイの鹿島アントラーズと浦和レッズ(ともに21本)に大きな差をつけてリーグ1位の数字。相手への的確な寄せやシュートブロックで「枠内に打たせないディフェンス」を実現している。

●名古屋グランパス

昨季は11勝13分け10敗と勝ち越したものの、上位争いには食い込めず8位で終わった名古屋グランパス。今季はここまで5勝2分1敗の勝ち点17で2位と、スタートダッシュに成功している。

前述のとおりここまでのボール保持率はリーグでもっとも低い43.0%、ボール奪取から15秒未満での得点も5ゴールでリーグ3位となっており、ヴィッセル神戸と同様に速攻から得点につなげるシーンが目立っている。

シンプルな攻撃戦術を行う上で、重要な要素として挙げられる「走る」と「球際で負けない」といった基本的な能力の高さはスタッツにも表れており、スプリント回数は1,170回(リーグ2位)、インターセプト数は21回(リーグ3位)、タックル数は170回(リーグ4位)を記録。タックル数リーグ1位(33回)の稲垣 祥を中心に強度の高いプレーを続け、奪ってから前線へ素早くつないで多くのチャンスを作る戦術が徹底されている。たとえ守る時間が増えても、好セーブを連発する守護神ランゲラックを中心にゴールへカギを掛け、隙のないイレブンが堅守速攻を体現することで白星を積み重ねている。


昨季と比べ、ボール保持率が低いチームの上位進出が見られる今季の序盤戦。このままボール保持率の低いチームが上位をキープするのか、はたまた高いボール保持率を残すポゼッション型のチームがここから盛り返しを見せるのか。スタッツにも注目すると、今後の上位争いをさらに楽しめるかもしれない。

文章/データ提供:データスタジアム株式会社