まず、J2優勝を果たした今季の徳島を紹介したい。リカルド ロドリゲス監督就任から4年目。昨季はJ1参入プレーオフ決定戦・湘南戦(1△1)までコマを進めたものの、勝利することはできずにJ1昇格のチャンスはこぼれ落ちた。だが、その悔しさを胸に走り出した今季。シーズンオフには主力級選手を5名引き抜かれたものの、ブレることなくチーム力を構築しながら着実に戦ってきた。
序盤から常に上位争いに顔を出せた要因は「戦術浸透が早かった」(岩尾 憲)こと。リカルド ロドリゲス監督は戦術に長けた指揮官であることはフットボールファンにおいては周知だと思うが、その浸透には例年時間を要する。しかし、それが今季に関しては新加入選手の理解度も高く、「数回トレーニングすればピッチで表現できたこともある」(岩尾)とプレシーズンから順調に組織構築ができた。
次にリーグ戦で活躍した選手と特筆すべき数字を紹介したい。チームトップスコアラーは17得点の垣田 裕暉。左右両足、加えてヘディングでの得点力もある。その内容はワンタッチゴールが多く、チームで作り上げた好機をコンスタントに決めてきた。また、チームの特徴はGK上福元 直人から始まるビルドアップ。“疑似カウンター”とでも呼べばいいだろうか。自陣でボールを動かしながら、相手のプレスを誘い込み、巧みなパスワークで一気に敵陣に攻め込む。仮に相手が守備ブロックを形成したとしても、ピッチの左右を幅広く使って押し込みながら好機創出する術もある。また、セットプレーからの得点が『21』というのはJ2トップ。小柄な選手が多いにもかかわらずセットプレーからの得点が多いということは、それだけバリエーションを備えているということだ。最終的に攻撃面ではリーグ2位の67得点、守備面ではリーグで2番目に少ない33失点でフィニッシュ。最終節を勝利で締めくくることはできなかったが、1年間積み上げてきた得失点差でJ2優勝を成し遂げた。
次にHonda FCに目を向ける。天皇杯5回戦・筑波大戦は先制を許しながらも、石田 和希のゴールで同点に追いつくと、後半アディショナルタイムに佐々木 俊輝が逆転弾を決めて劇的勝利。“JFLの門番”とも言えるHonda FCが、今大会でも旋風を巻き起こそうとしている。実は昨年度の天皇杯でも3回戦で徳島と対戦しており、今大会2得点中の大町 将梧の得点もあって快勝した(2○0)。また、昨季はJ2の徳島だけでなく、J1クラブも圧倒。2回戦では札幌(4○2)、ラウンド16では浦和(2○0)を打ち破り、準々決勝では鹿島相手に1点差で敗戦ながら最後まで苦しめた。
徳島がJ2チャンピオンの貫録を見せつけ、昨季のリベンジを果たすか。はたまた、ジャイアントキリングとは呼べないほどに本質的な強さのあるHonda FCが今大会も旋風を巻き起こすか。
舞台は、ノエビアスタジアム神戸。間もなくキックオフ。
[ 文:柏原 敏 ]
