2019年6月30日。ヤマハスタジアム(磐田)で行われた明治安田J1第17節・川崎F戦後に磐田の監督を退任した名波監督。最後にこのスタジアムで目にした日から約3年の月日が流れ、サックスブルーのレジェンドが敵チームを率いてこのスタジアムに帰ってくることになるとは。磐田にとっても特別な一戦になる。
2019年は、両チームともにJ1残留争いを強いられ、結果的にはそろってJ2降格。そこからJ2で過ごした2年間でお互いの歩みは対照的なものとなってしまった。磐田がJ2優勝でJ1復帰を果たした一方で、松本はJ3降格。両チームには大きな差が生まれてしまった。
しかし今季のリーグ戦では、ここまで3勝6分7敗と苦しい戦いが続いている磐田とは対照的に、松本は4月以降無敗をキープしており、首位と勝点2差で3位と好位置につけている。その中で天皇杯を舞台にぶつかり合う両者の一発勝負は、カテゴリーの差を感じさせない好ゲームとなるだろう。
JリーグYBCルヴァンカップでは若手を積極的に起用し、チームの底上げを図ってきた磐田。その中で鹿沼 直生や吉長 真優のように、アピールに成功してリーグ戦での出番を勝ち取る者も現れた。平均年齢が高いチームにとって、フレッシュな若手の台頭はチームが成長していく上で避けては通れない。その中でJ1クラブとしてのプライドを示さなければならない一発勝負は、「(若手にとっても)良い機会。天皇杯を勝ち進まなければいけない中で、相手は力のあるチーム。勝者のメンタリティーは必要になってくる」と伊藤 彰監督。大会こそ違うが、ルヴァンカップDグループ最終節では、勝てばグループステージ突破が決まる状況で湘南に0-1で敗戦。勝たなければいけないという条件はこの試合も同じだ。そのプレッシャーが重くのしかかる一戦で、J1クラブの意地を見せられるかが問われる。
対する松本は、天皇杯長野県予選決勝で長野との“信州ダービー”を制して本戦への切符をつかむと、1回戦では石川県代表の北陸大と対戦。学生チーム相手に2点のリードを追いつかれる苦しい展開も、田中 パウロ淳一が2得点の活躍を見せ、2回戦進出を決めた。
ただ、今季成長を遂げている横山 歩夢は、U-19日本代表に選出され、モーリスレベロトーナメントに参加中。若きエースの不在をカバーする存在として、1回戦でゴールを決め、直近のJ3第10節・今治戦でもゴールを挙げている榎本 樹には期待したい。
ともにJ2にいた昨季途中に松本の指揮官に就任した名波監督。サンプロ アルウィンで迎えた初の古巣戦は、磐田が4-0で勝利。果たして二度目の対戦では、どのような結末が待っているか。慣れ親しんだスタジアムで古巣撃破を虎視眈々と狙っているに違いない。
[ 文:森 亮太 ]
