このゲームが大会初戦となる福岡の指揮を執るのは、就任3年目の長谷部 茂利監督。堅守を武器に2020年にJ2からJ1昇格を果たし、5シーズンぶりのJ1となった昨季は8位と躍進してフィニッシュ。J2からJ1へ昇格しながら1年でJ2に降格するという“5年周期”のイヤなジンクスを打ち破った。
今季も自慢の堅守は健在で、明治安田J1第16節を終えた時点で失点はわずかに『10』。これはリーグ最少。しかし戦績を見れば4勝7分5敗の12位と、必ずしも良い状況とは言えず、その要因となっているのが攻撃力。総得点11はこちらもリーグ最少で、得点力不足解消が現在の最大の課題。
この沖縄SV戦をリーグ戦における状況打破のきっかけとしたいと言うのが長谷部監督だ。
「カテゴリーの違うチームとの対戦であることを考えれば、ウチがボールを握れる可能性がある。そうなったときにどういう攻撃を仕掛けられるか、そこのトライができる試合になる」 「われわれは常に守ってワンチャンスをモノにして勝ちたいわけではなく、攻撃をしたい、ボールも握りたいというのが本音。でもミスが多いので握れないだけ。そのへんを選手たちに意識してもらって、この一戦はおそらく攻撃の時間が長くなると思うので、選手には『攻撃のところを意識して試合に入ろう』と話すつもり」 対する沖縄SVは攻撃力が売りのチーム。九州リーグでは8試合を終えて全勝で首位に立っているが、そのすべての試合で複数得点を奪っている。最多で1試合11得点、また6得点と4得点が2試合、5得点を奪った試合が1つある。
当然、得点ランキング上位には複数選手がランクイン。12得点を挙げて首位の山田 雄太、7得点で3位の一木 立一など、10位以内に5人の名前が並ぶ。
選手兼監督の元日本代表FW髙原 直泰のほか、清水、山形、岐阜、相模原などでプレーした岡根 直哉、東京Vや鳥栖などでプレーした安在 和樹、町田や富山でプレーした戸高 弘貴など、Jリーグでのプレー経験を持つ選手が多数在籍する。またコーチには広島や札幌などでFWとしてプレーした前田 俊介の名前も。
海邦銀行SCとの天皇杯沖縄県予選決勝をPK戦の末にモノにした沖縄SVは、天皇杯1回戦で今治と対戦。前半終了間際に先制を許しながら、後半に安在の見事なFK弾をはじめとするセットプレーからの3得点を含む計4得点を奪い、逆転勝利。J3チームを相手にその攻撃力を存分に発揮した。
福岡の長谷部監督はこの一戦に向けて、「沖縄SVさんはフットワークが良いというか、自分たちで作っていこうとの気概がある選手・監督なので、次のゲームでは、われわれに勝つんだという気持ちは当然あり、全力で来るはず。だから、われわれもカテゴリーが違うが、1つの公式戦として全力でやらなきゃいけない」と気を引き締めている。
J1屈指の福岡の堅守を沖縄SVの攻撃陣がどう崩していくのか。あるいは福岡は課題の攻撃面で収穫を手にすることができるのか。見どころ十分のゲームになりそうだ。
[ 文:島田 徹 ]


