北陸大は北信越大学リーグで常に優勝を争う強豪で、全日本大学選手権には5回出場している。今季J2に昇格した藤枝で活躍中の横山 暁之が2018年度、宮崎の東出 壮太が2020年度の卒業生だ。
天皇杯出場は2年連続六度目。石川県予選準決勝ではライバルの金沢星稜大に4-1で快勝した。決勝では千葉U-18出身で身長180cmのSB宮田 光晟が2得点を挙げ、本戦初出場を目指した金沢学院大を2-0で下している。
過去の天皇杯ではJクラブと四度対戦し、初出場だった2015年は1回戦で磐田に0-1、2016年も1回戦で長野に0-5、初めて1回戦を突破した2019年は2回戦で鹿島に1-3、前回大会は1回戦で松本に2-3で敗れた。松本戦では現4年生の遠藤 青空のゴールなどで2点差を追いつく健闘を見せた。この試合に出場した選手では遠藤、中村 純哉、後藤 寛斗ら計7人が残っており、経験値は十分。西川 周吾監督らスタッフ、選手全員が「今年こそ」とアップセットを狙っている。
桐生第一高出身の遠藤は昨季のリーグアシスト王で、デンソーチャレンジカップの北信越選抜にも選ばれたホープだ。2年前に北陸大トップチームを破る下克上で天皇杯に出場したFC北陸からは、富山戦でもドリブルで見せ場を作った三ツ井 侑汰や大型ボランチの田中 一成、木曽 弥矩人、原田 侑瑞樹、GK伊藤 龍輝らが中心選手に育っている。
対する富山は3年連続14度目の出場。富山県予選決勝は富山新庄クラブと0-0のままPK戦にもつれたが、プロ初出場だった19歳のGK平尾 駿輝の活躍もあって、プロの面目を保った。北陸大のポテンシャルの高さ、格上として負けられない緊張感を考えると、今回も苦しい戦いを強いられる可能性があるが、勝ち切って6月7日の2回戦で京都にチャレンジしたい。
近年5、6月に行われている天皇杯の各都道府県予選、本戦の1、2回戦はJ3各クラブのチーム作りに重要な意味を持つ。リーグ中盤戦をにらんで、それぞれが目的意識を持って試合に臨み、例年このタイミングで監督交代に踏み切るクラブが出てくる。富山は今季、富山県予選決勝で、それまで出場機会が少なかった選手がプレーした。後半途中に退場者を出すアクシデントがあり、2015年以来となる予選敗退がちらつく薄氷の展開だったが、小田切 道治監督は「苦しいゲーム、苦しい時間帯は必ずある。そのときに何ができるのかが問われるし、うまくいかなくても勝ち切ることが重要。そのとおりに選手が体現してくれた。次につながる」と評価。この試合に出場した選手たちが1週間後のJ3第10節・福島戦で数多く起用され、柳下 大樹が決勝点を挙げ、Jリーグデビュー戦だった平尾が好セーブを連発して、勝利に貢献した。戦力の底上げ、チーム内競争が促進されている。良い流れをさらに強めていけるか注目だ。
[ 文:赤壁 逸朗 ]