横浜FCは2021シーズンに明治安田J1で20位となり、J2へ降格。昨季は札幌でヘッドコーチを務めていた四方田 修平監督を指揮官に迎え、1年でのJ1復帰を果たした。四方田監督体制2年目の今季は、バランス重視の4バックで守備ではハイプレス、攻撃では後ろからしっかりビルドアップするスタイルを目指したが、リーグ開幕から10戦勝ちなし(3分7敗)で最下位と苦しんだ。しかし、5月初戦のJ1第11節・新潟戦から3バックに変更し、守りを安定させてカウンターを狙う戦術に舵を切ると、7試合で勝点10(3勝1分3敗)を積み重ね、16位でリーグ前半戦を折り返すことに成功した。
直近の試合は18日に行われたJリーグYBCルヴァンカップCグループ最終節・神戸戦。リーグ戦で3位の神戸に3-1で快勝。3得点は今季公式戦初で、開始3分で相手に1人退場者が出たとはいえ、守備に重きを置くあまり得点の少なかったチームにとって勢いのつく勝利だった。
神戸戦にはリーグ戦の主力組中心で臨んだが、中2日で迎えるこの天皇杯は、その後さらに中2日でリーグ後半戦のスタートとなるJ1第18節・京都戦が控えているため、完全ターンオーバーで臨むことが確実。ルヴァンカップはグループステージでの敗退が決まり、サブ組にとって残された公式戦でのアピールの場は天皇杯しかない。2021年度大会はJ3八戸に1-2で敗北、前回大会はJFLのソニー仙台FCにPK戦まで持ち込まれた末の勝利と2回戦で苦戦が続いているが、37名の大所帯となっている今大会はサブ組が生き残りを懸け、目の色を変えて戦うはずだ。
一方、昨季のJ2で22位となり、J3に降格した岩手は、岩手県代表としての出場。5月21日に行われた1回戦でJFLのクリアソン新宿を4-0で下して、勝ち上がってきた。今季から新指揮官に松原 良香監督を招聘。“攻撃的で相手を圧倒するサッカー”を掲げて1年でのJ2復帰を目指し、J3第5節終了時点で首位に浮上。しかし、その後3連敗を喫するなど調子を落とし、直近のJ3第14節では首位を走る富山に1-2と惜敗して、14位に沈んでいる。
こちらも中2日で松本とのリーグ次節が控えるだけに、大幅なターンオーバーが予想される。1年でのJ2復帰を目指すなら、これ以上順位を下げるわけにはいかない。横浜FCのサポーターにとっては2018年の夏から2021年の夏まで在籍していた田代 真一との再会が楽しみなところだが、リーグ戦で主力CBとしてプレーしているため、ベンチメンバーに入るかどうかというところだ。
昨季はともにJ2で戦い、岩手のホームゲームでは3-1で横浜FCが勝ち、横浜FCのホームゲームでは岩手が3-0で勝利している。また、両者は今季のJ3開幕前の2月25日に横浜FCの練習場でトレーニングマッチを行っており、45分×3本を戦った結果は3-3の引き分けだった。つまり、“アウェイ”での横浜FC戦は岩手にとって良いイメージが多いはずだ。
6月7日に行われた2回戦では、JFLの高知ユナイテッドSCがJ1のG大阪を下すジャイアントキリングが起こっており、この試合の勝者と3回戦を戦うことになる。下克上が起こる確率がそう高くないものであることを考えれば、とりわけ岩手にとっては横浜FCに勝つことでクラブ史上初の天皇杯ベスト16進出が現実味を帯びてくる。もちろんベスト16がクラブ記録の横浜FCにとっても、新しい歴史を作るために負けられない。熱い戦いに注目だ。
[ 文:芥川 和久 ]
