5月はじめからは4連勝と波に乗っていた神戸だったが、明治安田J1第15節・鹿島戦から公式戦3連敗を喫するなど苦境に陥った。それでも直近の第17節・浦和戦では前半から相手を圧倒するパフォーマンスを披露し、後半は一転して苦しい時間が訪れるものの、1-1のドローで連敗をストップさせている。
試合のなかったルヴァンカッププレーオフラウンド期間はチームとしての戦い方を再確認する時間に充てた。「浦和戦の修正を重点的に。自分たちの緩くなっている部分だったり、コンパクトさの部分はトレーニングした」と吉田 孝行監督。地道な作業とも換言できるが、それをチームや選手各自が献身的に実行してきたからこそ、神戸は現J1王者として多くのチームからマークされる存在になった。一部にケガ人が出ていることには懸念もあるが、「良い確認はできたので、それをピッチでどれだけ見せられるか」と話す指揮官のもとで全体観をあらためて養い、この一戦に挑むことになる。
注目はメンバー編成。大迫 勇也や武藤 嘉紀ら主力選手をこぞって送り込むことも、出場機会に飢えるメンバーを軸に構成することも、タイミング的に選択肢はいくつもある状況だ。ここまで左ウイングや右SB、さらにボランチまでこなすなど、高いユーティリティー性でリーグ戦やルヴァンカップの戦いを支えている広瀬 陸斗は「(富山は)良いプレッシャーの掛け方をしてくるし、サイドには良いドリブラーもいる」と警戒心を強め、準備に全力を注ぐ。“競争と共存”のもと、すべての選手がメンバー入りを目指して試合までの練習に没頭することになる。
かたや富山。明治安田J3では首位と勝点差18の11位となっているが、ルヴァンカップでは山形、清水、神戸と上位カテゴリーのチームを次々に撃破。直近の札幌とのプレーオフラウンドは2戦合計2-3で惜しくも敗退となったものの、今季における下克上の主役とも呼べそうな存在感を漂わせている。天皇杯では1回戦で関西大を3-0で下し、2回戦にコマを進めてきた。
神戸同様にメンバー編成は注目点。連戦の最中での試合はいずれもメンバーを大きく変更して臨んでいるのが特徴的だ。札幌とのホーム&アウェイの2試合も先発を大幅に変更しながら好ゲームを演じており、チームとしての戦い方が選手個々に浸透していることの証左でもあるだろう。神戸とノエビアスタジアム神戸で対戦した2022年度の天皇杯2回戦では、終盤に逆転されたものの前半に2点を先制するなど勝利に肉薄している。ルヴァンカップの再現、そして2022年度大会の忘れ物を取りに堂々とノエスタのピッチに立つことになりそうだ。
[ 文:小野 慶太 ]
