富山が神戸と対戦するのは2022年6月にノエビアスタジアム神戸で行われた天皇杯2回戦以来。その試合では前半に2点をリードしたが、逆転負けを喫している。61分に神戸が酒井 高徳と大迫 勇也を投入するとゲームの流れが一変し、70分以降に大迫 勇也の2得点を含む3ゴールが生まれた。2013年にJ2で対戦した際は1分1敗。2017年の天皇杯2回戦でも終盤に勝ち越されて1-3で敗れている。
富山の地での神戸戦は2013年4月のJ2第8節以来11年ぶり。そのときの神戸の監督は、のちに富山を率いる安達 亮氏が務めていた。スコアレスドローに終わったこの試合には18歳の岩波 拓也が先発し、吉田 孝行現神戸監督も出番こそなかったが、ベンチ入りしている。
気になるのは神戸のメンバー構成だ。5月11日のJ1第13節から、26日の第16節・東京V戦まで、JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦を入れて公式戦5連戦の最中にある。同3連戦の最中だった4月17日のルヴァンカップ2回戦・今治戦では、4日前のリーグ戦でベンチスタートだった岩波や井手口 陽介、ジェアン パトリッキら7人全員を先発起用。主力の山川 哲史や宮代 大聖らを途中から投入して延長戦の末に競り勝っているが、今回はどうか。まだ手にしていないルヴァンカップのタイトルを目指して負けは許されないが、AFCチャンピオンズリーグエリートをにらんだ戦力の底上げも重要なテーマだ。この機会をチーム作りと選手育成にどう活用すべきか、吉田監督は熟慮しているだろう。メンバー発表を楽しみに待ちたい。
一方の富山はリーグ前節・FC大阪戦で今季初の連勝を飾り、J2自動昇格圏内の2位との勝点差を『2』に縮めた。開幕してしばらくは得点力不足で勝ち切れない試合が多かったが、直近2試合は2-0で快勝しており、攻撃練習の成果が表れつつある。今回の神戸戦も有意義なものにして、この勢いを本物にしたい。26日には天皇杯1回戦で大阪府代表の関西大と対戦し、勝てば来月12日に再び神戸と、今度はノエスタでぶつかる。
神戸サポーターにも知ってもらいたい選手としては、中京大卒のルーキー・碓井 聖生を推したい。富山県上市町出身で、元日本代表の柳沢 敦氏をはじめストライカーを数多く輩出している富山第一高のOB。シュートチャンスを作り出すゴール前での柔らかな身のこなし、キックの精度とパンチ力に優れており、リーグ戦ではチーム最多の4得点を記録し、ルヴァンカップ1回戦・山形戦でも延長戦でゴールを決めている。
同じく京都産業大卒のルーキー・西矢 慎平は神戸市生まれで神戸U-12出身。沼津から今季加入した大迫 暁は神戸U-15で山川や中坂 勇哉と同期だった。大迫 暁は「神戸で身につけた基本技術が現在のベースになっている。2人とピッチで再会するのが楽しみ。恐縮ではあるが、僕も(神戸の大迫 勇也とともに)“大迫”としてこの試合を盛り上げ、富山の皆さんにサッカーの面白さと勝利を届けられたらうれしい」と語っている。
元日の能登半島地震では富山県内でも家屋の損壊など大きな被害があり、海底の地形変化の影響とみられるカニやシロエビの記録的な不漁といった思わぬ余波も続いている。くしくもこの年にヴィッセルサポーターによる『神戸讃歌』が北陸の地に響くことになったのは感慨深い。多くの人にドキドキとワクワクを届ける好ゲームを期待しよう。
[ 文:赤壁 逸朗 ]
